ダメ文章から学ぶ「読みやすい文章」の書き方1.~読者を迷子にしない
薬剤師も、薬歴やトレーシングレポートなどで“他人に読んでもらう文章”を書く機会があります。しかし、せっかく色んな知識や深い考察ができていても、それをわかりやすく他人に伝えることができなければ、処方提案や他職種連携もうまくいきません。“上手な文章”には色々なタイプのものがありますが、わかりづらい、読みづらい、読んでいてなんだか疲れる文章というのは、わりと共通点があります。そこで、ちょっとダメな文章を例に、読みやすい親切な文章を書くためにはどういった点に気を付ければ良いか、誰でもできる基本的なテクニックをいくつか紹介します。
1.読者を「迷子」にさせない文章を書こう
問題.次の文章を「読みやすい文章」に直してください。
薬剤師が患者が使っている薬と飲み合わせが悪いものがないか、お薬手帳を確認する。
なんとなく意味はわかると思います。ただ、「薬剤師が」で文章が始まっているので「薬剤師」が主語の文章かと思いきや、次に「患者が」と続くので、読み手はこの「薬剤師が患者が」という文頭の7文字だけで、まず“どっちが主語なのかわからない迷子”になります。その迷子の状態のまま文章を読み進めていくと、なんとまた「飲み合わせが悪いものが」と、「が」が2回連続して出てきます。こうなると、読み手はこの文章の主語が「薬剤師」なのか「患者」なのか「飲み合わせ」なのか「悪いもの」なのか、全然わからなくなります。
それでもかろうじてこの文章の意味がわかるのは、「お薬手帳を確認する」という続きの文章を見て、「こういう文章に続くのであれば、きっとこの文章の主語は「薬剤師」だろうな・・・」と推測することができるからです。言い方を変えると、この文章は“たくさんある主語っぽいものの中から、読み手が本当の主語を推測して読む必要がある”ということになります。こうした“余計な労力”がかかる文章が続くと、筆者の主旨を理解する前に、文章の構造を推測するだけで疲れてしまうので、結果として非常に理解しづらい、読みづらい文章になってしまいます。
▲読み手は、主語が「薬剤師」なのか「患者」なのか、最初の7文字でいきなり迷子になる。
・・・では、こうした読み手に余計な負担をかける不親切な文章にしないためには、どういったところに注意すれば良いのか、それを3点に絞って解説します。