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薬剤師の気になるトピックをお届け!今月の特集

更新日: 2022年10月6日 児島 悠史

ダメ文章から学ぶ「読みやすい文章」の書き方2.~余計な飾りつけを減らす

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薬剤師も、薬歴やトレーシングレポートなどで“他人に読んでもらう文章”を書く機会があります。しかし、せっかく色んな知識や深い考察ができていても、それをわかりやすく他人に伝えることができなければ、処方提案や他職種連携もうまくいきません。“上手な文章”には色々なタイプのものがありますが、わかりづらい、読みづらい、読んでいてなんだか疲れる文章というのは、わりと共通点があります。そこで、ちょっとダメな文章を例に、読みやすい親切な文章を書くためにはどういった点に気を付ければ良いか、誰でもできる基本的なテクニックをいくつか紹介します。

2.余計な飾りつけを減らして、スッキリした文章を書こう

問題.次の文章を「読みやすい文章」に直してください。

「ロキソプロフェン」は、生活に身近な市販薬としてもとても人気のある売れ筋OTC医薬品の代表格の商品ですが、胃潰瘍や腎障害のような非常に怖い副作用のリスクも、決して無視できるほど小さいものではありません。

前回の文章のように、文章の構造に致命的な欠陥があるわけではないため、「ロキソプロフェン」が人気の市販薬ではあるものの、胃や腎臓に対するリスクもあるのだ、という著者の主旨は、十分に理解できると思います。しかし、「市販薬」という単語が「生活に身近な」という言葉で修飾されていたり、「人気のある市販薬だ」ということを伝えるために「とても人気のある売れ筋OTC医薬品の代表格の商品」とまで言っていたりと、ひとつひとつのフレーズがやたらと大層な印象を受けます。

読んでいて疲れる文章のもう1つの特徴として、得られる情報のわりにやたら言葉が多いという特徴があります。「文章を書く」ときに、「たくさんの文字を書かなければならない」と身構えてしまう方は結構おられますが、同じことを伝えられるのであれば、使う言葉は少ない方が良いです。「焼肉定食」と4文字で伝えられる情報であれば、敢えて「細切れの牛肉と玉ねぎやピーマンなどの野菜を醤油ベースで甘辛く炒めたものと、みそを溶かした汁に豆腐を入れた熱い味噌汁と、米を炊いてできた温かい白米と、よくある一般的なきゅうりの漬物を、それぞれ別の器によそって、それを1つのお盆に乗せたお食事セット」みたいに122文字も費やして書く必要はないわけです(焼肉定食の内容を詳しく伝えたい場合は別ですが)。

確かに、小説などでは場面や心理描写をより詳しく緻密に表現するために、色々な修飾語や抽象的な表現を使うことがあります。むしろ、表現は豊かな方が読者も楽しめますので、あまり淡白な文章は適しません。一方、我々薬剤師が日常的に書く薬歴やトレーシングレポートは、簡潔に情報を伝えるための文章のため、あまり修飾語や抽象的な表現を多く使う必要はありません。“目的”が全く異なる文章を作っている、という点に注意が必要です。

ダメ文章から学ぶ「読みやすい文章」の書き方2.~余計な飾りつけを減らすの画像1

▲修飾語が多かったり、同じことを言い換えただけで特に意味を持たないフレーズが入っていたりと、情報量のわりに文字数が多い。

・・・では、こうした余分な単語を多用して文字数ばかりが増えてしまう文章にしないためには、どういったところに注意すれば良いのか、それを3点に絞って解説します。

POINT:過剰な修飾語を削ろう

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児島 悠史
こじま ゆうし

薬剤師 / 薬学修士 / 日本薬剤師会JPALS CL6。
2011年に京都薬科大学大学院を修了後、薬局薬剤師として活動。
「誤解や偏見から生まれる悲劇を、正しい情報提供と教育によって防ぎたい」という理念のもと、ブログ「お薬Q&A~Fizz Drug Information」やTwitter「@Fizz_DI」を使って科学的根拠に基づいた医療情報の発信・共有を行うほか、大学や薬剤師会の研修会の講演、メディア出演・監修、雑誌の連載などにも携わる。
主な著書「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100(羊土社)」、「OTC医薬品の比較の比較と使い分け(羊土社)」。

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