「薬剤師×〇〇」を改めて考える.2~手本となる薬剤師像を伝える
薬剤師に「×〇〇」が必要と思わせる状況
前回は、「薬剤師×〇〇」のベースにある、色々な分野で活躍をしようとする若い薬剤師たちの考え方を紹介しました。こうした、新しいことに目を向ける挑戦的な薬剤師が増えてきた背景には1つ、業界の変化があると考えられます。
現在、薬学部のある大学は全国で国立・公立・私立をあわせて79校あります1)。これらの大学から毎年新しく薬剤師が生まれてくる中、厚労省の示す資料では、令和2年の時点で既に薬剤師は供給過剰の状態にあり、2045年には12万人以上の薬剤師が余ることになる、という試算もあります2)。
大学在籍中からこのような未来を見据えた薬学生や若い薬剤師たちは、社会に出てからの30〜40年をどのように生きていけば良いかを考えているわけです。「薬剤師の資格だけでは十分な収入が得られないかもしれない」「薬剤師として働ける場がなくなるかもしれない」…このような不安を感じることもあるでしょう。”薬剤師以外のスキル”や”副業”などに目が向けられるのも、ごく自然なことと思われます。
さて、薬学生や若い薬剤師たちに、こうした将来の不安を抱かせてしまうのには、私たち現役薬剤師にも責任の一端があるでしょう。たとえば、学生や新人に対して「私もあの薬剤師のようになりたい」と思われるような仕事ぶりをしているでしょうか?