薬剤師の「退職」にまつわる本音.1~退職の“決め手”は?
「職場の人間関係」が退職の“決め手”になるのは、薬剤師も同じ
薬剤師は薬局・病院・ドラッグストア・企業・官公庁と様々な領域で活躍できる仕事です。そのため、転職や退職の機会も多い職業と言えますが、退職する際の理由は他の職業と違って何か特別な傾向があるのでしょうか。簡単な会員アンケートでその本音を探ってみました。その結果が、こちらの表です(表1)。
回答選択肢(複数回答可) | 回答数 | 回答率 |
---|---|---|
職場の人間関係に問題があった | 224 | 46.2% |
職場の理念や方針と合わなかった | 145 | 29.9% |
勤務時間やシフトに問題があった | 118 | 24.3% |
仕事内容にやりがいが乏しかった | 105 | 21.6% |
給与が少なかった | 96 | 19.8% |
結婚や妊娠、引っ越しなどの事情 | 80 | 16.5% |
希望した休暇をとれなかった | 71 | 14.6% |
別会社からの勧誘 | 59 | 12.2% |
昇進の可能性がなかった | 44 | 9.1% |
別の診療科を学ぶため | 32 | 6.6% |
家族の病気や介護 | 32 | 6.6% |
自分の病気 | 30 | 6.2% |
その他 | 72 | 14.8% |
表1.「転職を決意するに至った主な理由を教えてください」に対する回答
今回得られた485件の回答を見てみると、「転職」を決意するに至った主な理由として最も多かったのは、「職場の人間関係に問題があった(224件/46.2%)」でした。回答者のうち、実に半数近くが転職の主な“決め手”として「職場の人間関係」を理由として挙げている、ということになります。これは他の職種でも同じ傾向が見られるため、どんな職業の人間にとっても、「職場の人間関係」というのは仕事を続ける上で非常に重要な要素のようです。特に薬剤師は薬局など”狭い職場“で仕事をする人が多いため、苦手な人が1人居るだけでもその影響は物凄く大きくなります。上司と部下、同僚同士、薬剤師と他職種…薬剤師の人間関係にも色々なものがありますが、マネジメントする立場にある人が人材流出を防ぐためにまず注力すべきは、“良好な人間関係の維持“と言えるでしょう。
「職場の理念や方針」はきちんと言語化できているか?
少し注目したいのは、2番目に回答が多かった「職場の理念や方針と合わなかった(145件/29.9%)」という回答です。特に、「給与が少なかった(96件/19.8%)」や「希望した休暇をとれなかった(71件/14.6%)」、「昇進の可能性がなかった(44件/9.1%)」といった待遇面の問題よりも回答数が多かったのは、薬剤師にとって「職場の理念や方針」が比較的重視されていることを意味している可能性があります。