薬剤師の気になるトピックをお届け!今月の特集

更新日: 2023年1月4日 児島 悠史

年始に注意したい!冬のHbA1c値に対する服薬指導

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年が明けて最初の定期受診を終えて来局した2型糖尿病の患者さん。病歴がまだ長くないこともあって色々と積極的に治療に取り組んでおり、お正月休みも食事・運動療法を頑張って継続していたとのこと。その結果、年末年始を挟んでも体重は増えないどころか、むしろ順調に減らし続けられたくらいだったのですが、秋頃から「HbA1c値」が一向に下がらず、「お正月にもあれだけ頑張ったのに・・・」と凄く落ち込んでいるご様子。このとき、薬剤師はどんなことに注意して服薬指導を考えればよいでしょうか。

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POINT①:特に冬の休暇は、「体重」が増えやすい

休暇があると飲み過ぎ・食べ過ぎなどが起こりやすく、体重が増加しやすい・・・というのはおよそ万国共通の傾向です1)。特にお正月休みは、気温が低かったり雪が降っていたりするためにあまり外出しない、お祝いムードで普段よりも食事・飲酒の機会が多いなど、様々な要因で糖尿病のコントロールは悪化しやすい状況と言えます。

そんな中、お正月休みを挟んだ前回から体重が増えていない、むしろ順調に減らし続けられているということは、恐らくこの患者さんはお正月休みにも相当に強い意志で食事療法・運動療法を続けていたと考えられます。まずは、そのことに想像力を働かせて、対応を組み立てましょう。

なお、「HbA1c値」は過去120日間(※赤血球の寿命)の血糖値の変動をおよそ反映している値で、「血圧」のようにリアルタイムの状況を反映しているわけではありません。そのため、“年末年始の頑張り”は、「HbA1c値」ではなく「体重」から見えてくるものがあります。

POINT②:「HbA1c値」も、季節変動する可能性がある

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児島 悠史
こじま ゆうし

薬剤師 / 薬学修士 / 日本薬剤師会JPALS CL6。
2011年に京都薬科大学大学院を修了後、薬局薬剤師として活動。
「誤解や偏見から生まれる悲劇を、正しい情報提供と教育によって防ぎたい」という理念のもと、ブログ「お薬Q&A~Fizz Drug Information」やTwitter「@Fizz_DI」を使って科学的根拠に基づいた医療情報の発信・共有を行うほか、大学や薬剤師会の研修会の講演、メディア出演・監修、雑誌の連載などにも携わる。
主な著書「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100(羊土社)」、「OTC医薬品の比較の比較と使い分け(羊土社)」。

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