薬剤師が押さえたい患者さんの話を上手く引き出すテクニックとは?
シチュエーション
- やや辿々しい足取りで常連のおじさんが入ってきた
- いつもの生活習慣病の薬に湿布薬が追加
- 何かを話したそうにこちらをチラチラと見ている
湿布薬が処方された患者さんが、投薬台に来られるや否や開口一番、「いや~先週末にやっちゃってね、参ったよ~」と意気揚々と話し始める。薬剤師は、腰をさする患者さんの動作を見て、「ぎっくり腰ですか?痛みがつらそうですね」と尋ねる。
…この対応、もちろん間違ったものではありません。新しく追加された湿布薬について、”アタリ”をつけて情報収集をすることで的確な服薬指導につなげようとしています。共感的な言葉もあるので、むしろ良い対応と言うこともできるでしょう。しかし、こういう状況でできる”ひと味違う対応”を考えてみたいと思います。
「喋りたいこと」を「喋らせる」というテクニック
人は誰しも、自分に起こった小さくない出来事を話したがるものです。芸能人に偶然出会ったり、抽選に当たったりといったポジティブなことだけでなく、財布を落としたり、上司に叱られたりといったネガティブな出来事も誰かに話したくなります。
例えば、このシチュエーションのように「腰を痛めてしまった」ということは、患者さんの生活に大きな支障が出ますし、大変な思いをしているはずです。そのような辛い経験は誰かに話して、「こんなに辛かったんだ」と共感してもらいたい、と思うはずです。重要なのは、その最も重要な核心部分は「自分で言いたい」という傾向にあることです。