”ピボキシル基”のついた小児の抗菌薬。味が苦手で変更をお願いされたときに注意したいリスクとは?
子どもは、小児科や耳鼻科などで色んな抗菌薬を処方される機会がありますが、その中で“飲みやすい抗菌薬”にも“飲みづらい抗菌薬”にも出会います。場合によっては、「美味しい」といって進んで服薬してくれる抗菌薬と、何をどう頑張っても全く飲んでくれない抗菌薬……みたいなものもあるかもしれません。事実、「薬の味」は子どもの服薬アドヒアランス低下とも関連する1)ため、“子どもにとっての飲みやすさ”までを意識した服薬指導は薬剤師として非常に重要な仕事の1つと言えます。
ただ、ここで注意したいのは、「薬の味」は確かに重要な要素の1つではあるものの、最重要事項ではない、という点です。味や飲みやすさだけを重視する偏った考え方をしていると、知らない間に患者さんにとって不利益な対応をしてしまう恐れもあります。
ポイント①:抗菌薬の「AWaRe分類」を知ろう
抗菌薬は、そのタイプによって得意・不得意とする細菌の種類が異なります。そのため、感染症の原因となっている細菌に合わせて、なるべくその細菌にピンポイントで作用する抗菌薬を選ぶ、というのが基本です。不必要に色んな細菌に作用する抗菌薬を使うのは、「街中に潜伏したテロリストを倒すために、その街ごと絨毯爆撃して破壊し尽くす」ようなもので、デメリットも大きいからです。
実際、ピンポイントで作用する「ペニシリン系の抗菌薬」ではなく、広い抗菌スペクトルを持つ抗菌薬を使うようになると、耐性菌の出現リスクも高くなる2)こともわかっています。こういった耐性リスクの観点から、世界保健機関(WHO)は抗菌薬について優先順位を3つに分類した「AWaRe分類」を公開し、その適正使用を推奨しています3)。