薬剤師の気になるトピックをお届け!今月の特集

更新日: 2023年3月27日 児島 悠史

【薬剤師のデータ解釈】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬:エンシトレルビルの後遺症抑制効果

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2月22日に、「エンシトレルビル」がLong COVID(※新型コロナウイルス感染症の罹患後に長く続く後遺症)の抑制に役立つのではないか、とするデータが発表されました。実際の発表を見てみると、COVID-19罹患から6ヶ月間の追跡期間中、「エンシトレルビル」を投与された人は、「プラセボ」を投与された人よりも、咳や倦怠感などの特徴的な14症状が45%、集中力や思考力の低下といった神経系の4症状も33%少なかった、ということがアンケート結果によって得られた、と記載されています。

このデータは専門誌だけでなく、一般向けのニュースでも取り上げられ、大きな話題になっていますが、“かなり勇み足”な報道も多く見受けられます。そこで今回は、この話題に触れるにあたって、薬剤師として押さえておきたい重要なポイントである「効果が確認された」と「効果を期待できるかもしれない」の区別について、簡単に解説します。

「効果が確認された」と「効果を期待できるかもしれない」の間にある、大きな溝

今回発表されたデータは、あくまでデータを探索的に評価してみたら、「後遺症が少なそう」という兆候が確認された、という性質のものです。「主要評価項目」に後遺症の発症リスクを設定し、この後遺症の発症リスクが薬の投与によってどう変わるのか…を検証するための臨床試験をデザインして実施し、そこで得られた結果ではありません。

・・・「何が違うの?」と思われるかもしれませんが、ここには物凄く大きな違いがあります。

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児島 悠史
こじま ゆうし

薬剤師 / 薬学修士 / 日本薬剤師会JPALS CL6。
2011年に京都薬科大学大学院を修了後、薬局薬剤師として活動。
「誤解や偏見から生まれる悲劇を、正しい情報提供と教育によって防ぎたい」という理念のもと、ブログ「お薬Q&A~Fizz Drug Information」やTwitter「@Fizz_DI」を使って科学的根拠に基づいた医療情報の発信・共有を行うほか、大学や薬剤師会の研修会の講演、メディア出演・監修、雑誌の連載などにも携わる。
主な著書「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100(羊土社)」、「OTC医薬品の比較の比較と使い分け(羊土社)」。
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