薬剤師の気になるトピックをお届け!今月の特集

更新日: 2023年4月2日 児島 悠史

紫外線が強くなるこれからの季節に注意。薬剤師がおさえたい外用NSAIDsの光線過敏症Q&A

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外用の鎮痛消炎薬は、腰や肩、首などの筋骨格系の痛みの緩和に、医療用・一般用を問わず広く用いられている薬です。一般的に、貼り薬や塗り薬は“副作用の少ない薬”として認識されていますが、決して副作用に対する警戒を行わなくて良い薬というわけではありません。特に、今回とり挙げる「光線過敏症」の副作用は認知度も低く、「そんな副作用があるなんて知らなかった」という油断によって健康被害を受けるケースが後を絶ちません。まずは薬剤師として、この副作用のメカニズムや原因薬、予防法をおさらいしておきましょう。

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「光線過敏症」って何?

紫外線を浴びることで起こる皮膚炎を総じて「光線過敏症」と呼びますが、大きく分けると、内服薬の服用によって起こる「光線過敏型薬疹」と、外用薬によって起こる「光接触皮膚炎」の2種類に分類できます。外用の鎮痛消炎薬で起こる「光接触皮膚炎」では、原因物質が貼付・塗布された部位にのみ、炎症や腫れ・痒み・水ぶくれなどの症状が現れるのが特徴です。つまり、テープ剤が原因の場合には、テープを貼っていた部分にテープ剤のかたちの通り真四角に炎症や腫れ・痒み・水ぶくれといった症状が起こります。

外用の鎮痛消炎薬による「光線過敏症」は、紫外線が強くなってくる5月初旬にかけて急増してきます。そのため、4月の処方くらいから注意喚起の声掛けを始めておく必要があります。

☞もう一歩深める

「光接触皮膚炎」は、さらに「光毒性接触皮膚炎」と「光アレルギー性接触皮膚炎」に分類されます。「光毒性接触皮膚炎」は、原因物質に紫外線が当たることで活性酸素が発生し、組織・細胞傷害を起こすものです。「光アレルギー性接触皮膚炎」は、紫外線によって原因物質に何らかの変化が起こり、アレルギー反応を起こすものです。外用の鎮痛消炎薬で起こるものは、大部分が「光アレルギー性接触皮膚炎」です1)が、どちらのタイプも起こり得ます2)

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「光線過敏症」は、どの外用薬で起こる?

外用の鎮痛消炎薬による「光線過敏症」の副作用は、『モーラステープ』などの「ケトプロフェン」製剤で有名ですが、「フルルビプロフェン」や「フェルビナク」、「インドメタシン」など他のNSAIDsでも「ケトプロフェン」と同じくらいの頻度でこの副作用は報告されています3)。そのため、特に「ケトプロフェン」製剤に限った話ではなく、外用の鎮痛消炎薬全般で共通したリスクだと理解しておくのが妥当と考えられます。「ケトプロフェン」製剤でなければ、紫外線に注意しなくて良い、という油断には注意が必要です。

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児島 悠史
こじま ゆうし

薬剤師 / 薬学修士 / 日本薬剤師会JPALS CL6。
2011年に京都薬科大学大学院を修了後、薬局薬剤師として活動。
「誤解や偏見から生まれる悲劇を、正しい情報提供と教育によって防ぎたい」という理念のもと、ブログ「お薬Q&A~Fizz Drug Information」やTwitter「@Fizz_DI」を使って科学的根拠に基づいた医療情報の発信・共有を行うほか、大学や薬剤師会の研修会の講演、メディア出演・監修、雑誌の連載などにも携わる。
主な著書「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100(羊土社)」、「OTC医薬品の比較の比較と使い分け(羊土社)」。

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