意外と認知されていない外用NSAIDsの”光線過敏症”薬剤師が押さえたい服薬指導のポイントとは?
薬の副作用には、どうしても避けられないものもありますが、薬剤師がしっかりと注意喚起をすることで確実に避けられるものもあります。前回も解説した外用の鎮痛消炎薬による「光線過敏症」は、“避けられる副作用”の一つですが、副作用そのものがあまり知られていないこと、発症までに時間差があること、多くの人が外用薬を油断して使っていることなど、この副作用が大きなトラブルに繋がってしまう要因はたくさんあります。そこで、この副作用に対して薬剤師はどのように関わっていけば良いのか、紫外線が強くなってくるこれからの季節に押さえておきたいポイントを解説します。
厄介な点①:「光線過敏症」という副作用の存在は、あまり知られていない
外用の鎮痛消炎薬による「光線過敏症」は、薬剤師にとっては比較的有名な副作用ですが、一般にはあまり知られていません。実際、2006年に外来患者に対して行われた調査では、「光線過敏症」という副作用の存在を知っていたのは、わずか13.3%だったという結果が得られています1)。つまり、8割近くの人がこの副作用を知らないまま、無警戒に薬を使っている可能性がある、ということになります。
2023年の現在では、製剤パッケージなどでも「光線過敏症」に対する注意喚起がされていることから、認知度はもう少し改善している可能性はありますが、それでも“知らない”という人はまだまだ多いと考えられます。
☞薬剤師が関わる際のポイント
まずは、外用の鎮痛消炎薬には「光線過敏症」という副作用のリスクがあることを知ってもらうことが重要です。その際、「光線過敏症」という言葉では伝わらないので、「薬を貼ったり塗ったりした場所に紫外線が当たると、強いアレルギーや皮膚炎を起こすことがある」といったわかりやすい表現で注意喚起する必要があります。
厄介な点②:薬を剥がしてから4週間が経ってから発症することもある
外用の鎮痛消炎薬による「光線過敏症」は、薬を使ってすぐに起こることもありますが、場合によっては薬を使い終わってから4週間以上が経ってから発症するケースもあります2)。そのため、この副作用を避けるためには、薬を使い終わってからも最低4週間は直射日光を避けるなど、根気強い紫外線対策が必要になります。
なお、副作用が起きてしまった際も、患者さんにとっては「4週間近く前の湿布薬が原因である」とはなかなか考えが至りません。そのため、病院でも「4週間前に湿布を貼っていた」という情報が共有されず、原因究明が医師にとっても難しくなってしまうことがよくあります。