薬剤師の気になるトピックをお届け!今月の特集

更新日: 2023年4月13日 児島 悠史

薬剤師が知っておきたい“普通の体型”の人に要指導医薬品「オリルスタット」を求められたときは?

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2023年2月、抗肥満薬の「オルリスタット」が要指導医薬品として承認されました。脂質の吸収を抑えることで体重減少の効果が期待できる薬として、巷では大きな話題を呼んでいます。しかし、「オルリスタット」は日本では医療用医薬品としての使用経験がなく、薬剤師にとってもあまり馴染みのない薬です。そのため、うっかり不適切な使用をしてしまわないよう、薬の特性をイチから押さえておく必要があります。今回は、その中でも特に気を付けたいシチュエーションを題材に、「オルリスタット」という薬の特徴を深堀りしたいと思います。

シチュエーション: “普通の体型”の女性から「痩せたいので薬を試したい」と相談されたら・・・

まず押さえておきたいのは、この「オルリスタット」が承認された効能・効果は、「腹部が太めの方の内臓脂肪および腹囲の減少(生活習慣改善の取り組みを行っている場合に限る)」である、という点です。この「腹部が太め」というのは、具体的には男性で85cm以上、女性で90cm以上が基準になっています。つまり、これに該当しない体型の人では本来の有効性や安全性を期待できない可能性が高く、減量にこの薬を使うのは“適さない”ことになります。

☞POINT:腹囲の基準は、メタボリックシンドロームの基準と同じ

腹囲は、くびれているウエストではなく、おへその位置で計測します。「男性85cm以上、女性90cm以上」というのはメタボリックシンドロームの診断基準と同じため、健康診断で「メタボリックシンドロームの疑いがある」と指摘されたことがあるかどうかが、「オルリスタット」が適するかどうかを判断するひとつの指標になります。

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児島 悠史
こじま ゆうし

薬剤師 / 薬学修士 / 日本薬剤師会JPALS CL6。
2011年に京都薬科大学大学院を修了後、薬局薬剤師として活動。
「誤解や偏見から生まれる悲劇を、正しい情報提供と教育によって防ぎたい」という理念のもと、ブログ「お薬Q&A~Fizz Drug Information」やTwitter「@Fizz_DI」を使って科学的根拠に基づいた医療情報の発信・共有を行うほか、大学や薬剤師会の研修会の講演、メディア出演・監修、雑誌の連載などにも携わる。
主な著書「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100(羊土社)」、「OTC医薬品の比較の比較と使い分け(羊土社)」。

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