薬剤師が知っておきたい“楽して痩せられる薬”として「オルリスタット」を求められたときは?
前回の記事では、「オルリスタット」が“どういう人に適した薬”なのかを、腹囲やBMIの観点から解説しましたが、今回は“薬の使い方”に焦点を当てたいと思います。というのも、この「オルリスタット」という薬を、“飲むだけで楽に痩せられる薬”と誤解しているケースはかなり多いと予想されるからです。そもそもどういった使い方をする薬なのか、どんな副作用があるのかといった点をおさらいしておきましょう。
シチュエーション: “飲むだけで楽に痩せられる薬”として求められたら・・・
「オルリスタット」の効能・効果でもう1つ押さえておきたいのが、「生活習慣改善の取り組みを行っている場合に限る」という注釈がついている、という点です。この「生活習慣改善の取り組み」とは、具体的には食事療法や運動療法のことを指します。つまり、食事療法や運動療法を行わずに、ただ薬を使うだけで楽に減量効果を得られる、みたいな薬ではありません。「飲むだけで痩せられる薬」といった間違った情報で薬を求められた際には、この点もしっかりと説明する必要があります。
☞POINT:食事療法はどのようなもの?
ひとことに“食事療法”と言っても、その内容や程度は様々です。昔は一律のカロリー制限などが推奨されていましたが、最近ではそれだけでなく、野菜・果物・ナッツ類の摂取割合を増やすことや、個々の活動量に応じた摂取カロリー量を考慮すること、個人・文化的嗜好に合わせて個別化した食事内容を考えること1)などが提唱されています。
これを踏まえると、