薬剤師が知っておきたい水虫治療のポイント.1~水虫治療の「ゴール」はどこ?
5月に入って気温や湿度が高くなってくると、水虫の患者さんも増え始めます。初めて水虫になった人、毎年水虫をぶり返してしまう人、事情は様々ですが、共通しているのは“完治”を目指して治療を行っている、という点です。薬剤師として、こうした水虫患者さんに接する際に大事なポイントをおさらいしておきましょう。
水虫はなぜ“ぶり返す”のか?
俗に言う“水虫”とは足白癬のことで、「白癬菌」という真菌が足の皮膚に感染したことで起こる皮膚疾患です。生命に関わるような疾患ではありませんが、痒みや皮のめくれといった不快な症状が現れたり、同居家族に感染を広げたりといったトラブルの元になります。
一般的に、足白癬であれば塗り薬の抗真菌薬で「白癬菌」を退治できるため、「白癬菌」が皮膚から完全に居なくなってしまうまで薬を塗り続けることで“完治”させることができます。しかし、問題はこの“完治”まで薬を塗り続けられない人が非常に多い、という点です。
たとえば、テレビCMなどの影響で、“水虫=痒い”というイメージを抱いている人が多く、この“痒み”が治まれば「治った」と早とちりしてしまうケースが非常に多い、という実情があります。しかし、一般的にこの段階ではまだ皮膚に「白癬菌」が残っているため、またしばらく経つと水虫をぶり返すことになってしまいます。「毎年、夏になると水虫になる」という人の中には、「毎年のように新しく感染している」わけではなく、「去年の夏に退治し切れていなかった白癬菌が、温度や湿度の上昇に伴って活動を再開したために、水虫をぶり返した」というケースもかなり多く含まれます。