薬剤師の気になるトピックをお届け!今月の特集

更新日: 2023年6月6日 児島 悠史

旅行・帰省の際の“特別な食事・睡眠のスタイル”に、どう備える?

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旅行中は、普段とは「食事」や「睡眠」の内容が全く異なります。薬の中には、その効果や安全性が食事のタイミングと強く関係しているものも少なくありません。旅行中の特殊な生活スタイルが、その薬の潜在的なリスクを強く引き出すようなことにならないよう、思わぬトラブルの原因になることがある代表的な薬を例に挙げながら、服薬指導に添える情報を考えてみます。

例①:速攻型のインスリン製剤~コース料理で食事がゆっくりと運ばれてくると・・・?

速効型のインスリン製剤は、一般的に食後の血糖値上昇を抑える目的で使いますが、旅行の際には食事の内容やペースが普段と大きく変わることがあります。たとえば、普段は忙しくて最初から炭水化物の多い食事をパパっと摂って食事を済ませてしまっている人でも、旅行の際にはのんびりと会話を楽しみながら食べられるもの、あるいは野菜や豆類・魚介類などを中心にした前菜やオードブルから少しずつ食べるコース料理などを注文する場合があります。特に“懐石料理”などでは、炭水化物はコースの終盤にならないと出てこないこともよくあります。すると、普段とは血糖値の上昇ペースは全く異なるため、食前に注射したインスリンの効果が現れてくる頃にはまだ大して血糖値が上がっていない状況です(図1)。これでは、宴会の最中に「低血糖」を起こしてしまう恐れがあります。

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児島 悠史
こじま ゆうし

薬剤師 / 薬学修士 / 日本薬剤師会JPALS CL6。
2011年に京都薬科大学大学院を修了後、薬局薬剤師として活動。
「誤解や偏見から生まれる悲劇を、正しい情報提供と教育によって防ぎたい」という理念のもと、ブログ「お薬Q&A~Fizz Drug Information」やTwitter「@Fizz_DI」を使って科学的根拠に基づいた医療情報の発信・共有を行うほか、大学や薬剤師会の研修会の講演、メディア出演・監修、雑誌の連載などにも携わる。
主な著書「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100(羊土社)」、「OTC医薬品の比較の比較と使い分け(羊土社)」。

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