夏の薬の保管~高温になりやすい「台所」・「カバン」・「車」の3つを意識した服薬指導を
たとえば、東京の日平均温度は5月には20℃近くなり、7月には25℃を上回るようになります。さらに、近年は7~8月の日最高気温の平均が30℃を超えることも多いこと1)から、部屋の温度が「室温」「常温」「冷所」の範囲から外れてしまうことは珍しくありません。
※日本薬局方に定められた温度の範囲
室温 | 1~30℃ |
常温 | 15~25℃ |
冷所 | 1~15℃ |
しかし、中でも医薬品が「高温」に曝されてしまう場面としては、「台所」や「カバンの中」、「車」といった状況が多いとされています2)。今回は、これら3つの状況で薬が高温の影響を受けることがないよう、服薬指導の際にどんなことに気を付ければ良いかを解説します。
「台所」:飲み忘れや子どもの誤飲対策として利用されることの多い保管場所
基本的に医薬品というものは高温・多湿を避けて保管する必要がありますが、“口にするもの”という意味で、食品と同じように「台所」に保管する人も少なくありません。“薬の飲み忘れ対策”や“子どもの手の届かない場所”といった意味で「台所」を選んでいるケースもあるようです2)。
しかし、「台所」は調理の際に繰り返し高温・多湿になりやすい環境のため、熱や湿度に敏感な薬の保管場所としてあまり適しているとは言えません。薬の保管場所を確認した際に「台所」と答えられた場合は、もう少し温度変化の少ない、別の保管場所を検討してもらった方が良いでしょう。