薬剤師の気になるトピックをお届け!今月の特集

更新日: 2023年7月10日 児島 悠史

高齢者が誤解しがちな、熱中症対策としての「エアコン」と「水分摂取」

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前回の記事で、高齢者は熱中症のリスクが高いこと、特に「屋内で日常生活をしている状況」で最もよく起こっていることなど、“暑い日の屋外で活動中”に起こるばかりではないことを紹介しました。そこで重要になるのが、「エアコン」や「水分摂取」といった具体的な熱中症対策になりますが、これに関しても色々と誤解されているところがありますので、注意喚起の際にはその表現方法や言葉選びに注意が必要です。

よくある誤解3 「エアコンは我慢した方が、体にもお財布にもやさしい?」

現代社会を生きる多くの人にとって「エアコン」は“贅沢品”ではなく、もはや“生命維持装置”と言えるような状況になっていますが、高齢者の場合は「エアコンは体に悪い」、「電気代がかかるからエアコンはなるべく我慢する」と言って、エアコンが設置されているにもかかわらず使わない、というケースも少なくありません1)

確かに、「エアコンで身体を必要以上に冷やすこと」はあまり好ましいものではありませんが、「熱中症」を起こした際の悪影響とは比べ物になりません。「熱中症」では、最悪の場合死亡することもありますし、重症化すると脳や全身の臓器に障害が残るケースもあります2)。そのため、多少は快適さを重視して設定温度を高めにする(目安は28℃程度)ことは考慮しつつも、エアコンを使って室温を下げることは“安全に生活をする上で必要”なものとして認識してもらう必要があります。

また、近年は電気代の値上がりによって“節約”のためにエアコンを我慢する人も多くおられます。

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児島 悠史
こじま ゆうし

薬剤師 / 薬学修士 / 日本薬剤師会JPALS CL6。
2011年に京都薬科大学大学院を修了後、薬局薬剤師として活動。
「誤解や偏見から生まれる悲劇を、正しい情報提供と教育によって防ぎたい」という理念のもと、ブログ「お薬Q&A~Fizz Drug Information」やTwitter「@Fizz_DI」を使って科学的根拠に基づいた医療情報の発信・共有を行うほか、大学や薬剤師会の研修会の講演、メディア出演・監修、雑誌の連載などにも携わる。
主な著書「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100(羊土社)」、「OTC医薬品の比較の比較と使い分け(羊土社)」。

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