高齢者が誤解しがちな、熱中症対策としての「エアコン」と「水分摂取」
前回の記事で、高齢者は熱中症のリスクが高いこと、特に「屋内で日常生活をしている状況」で最もよく起こっていることなど、“暑い日の屋外で活動中”に起こるばかりではないことを紹介しました。そこで重要になるのが、「エアコン」や「水分摂取」といった具体的な熱中症対策になりますが、これに関しても色々と誤解されているところがありますので、注意喚起の際にはその表現方法や言葉選びに注意が必要です。
よくある誤解3 「エアコンは我慢した方が、体にもお財布にもやさしい?」
現代社会を生きる多くの人にとって「エアコン」は“贅沢品”ではなく、もはや“生命維持装置”と言えるような状況になっていますが、高齢者の場合は「エアコンは体に悪い」、「電気代がかかるからエアコンはなるべく我慢する」と言って、エアコンが設置されているにもかかわらず使わない、というケースも少なくありません1)。
確かに、「エアコンで身体を必要以上に冷やすこと」はあまり好ましいものではありませんが、「熱中症」を起こした際の悪影響とは比べ物になりません。「熱中症」では、最悪の場合死亡することもありますし、重症化すると脳や全身の臓器に障害が残るケースもあります2)。そのため、多少は快適さを重視して設定温度を高めにする(目安は28℃程度)ことは考慮しつつも、エアコンを使って室温を下げることは“安全に生活をする上で必要”なものとして認識してもらう必要があります。
また、近年は電気代の値上がりによって“節約”のためにエアコンを我慢する人も多くおられます。