薬剤師の気になるトピックをお届け!今月の特集

更新日: 2023年7月14日 児島 悠史

「子どもの薬の誤飲事故」を防ぐために~孫を迎える高齢者宅でできる3つの対策

「子どもの薬の誤飲事故」を防ぐために~孫を迎える高齢者宅でできる3つの対策メインの画像1

日ごろから何種類も薬を服用している高齢者は、自分が「飲み忘れ」や「飲み間違い」をしないように、あるいは自分の服薬が便利になるように、色々と自分なりに工夫をして薬を管理していることが多いと思います。しかし、その自分にとっては便利な管理方法が、夏休みに孫を家に招いた際には“薬の誤飲事故”のリスクに繋がってしまうことも珍しくありません。事実、0~2歳程度の子どもによる医薬品の誤飲事故は、帰省時期にあたる8月や12~1月の親類宅で増える傾向にあり1)、いつも通りの無防備な状態で孫を迎えるのは、ややリスクがあると言えます。

そこで今回は、高齢者の日常生活のどこに“子どもの誤飲リスク”に繋がる要因があるのか、具体的な注意喚起の声掛けをする際に重点的に押さえておきたいポイントを紹介します。

よくあるリスク1 薬のシートを「1錠」ずつに切り離して保管・管理している

1990年頃までは、薬のPTPシートはハサミなどを使わなくても「1錠」や「1カプセル」だけに切り離せる構造になっていました。しかし、「1錠」だけになった薬はPTPシートごと誤飲してしまう事故が多発したことで改善要望が出され2)、現在は「1錠」ごとには切り離せない構造になっています。

しかし、そんな改善がなされているにもかかわらず、やはり「1回分」がわかりやすくなるようにと、PTPシートをハサミで細かく「1錠」ずつに切り離して保管・管理してしまう人は結構おられます。こうした切り離しをしている場合、自分自身がPTPシートごと誤飲してしまうリスクにもなりますが、それに加えて「切り離した1錠を、気づかない内にどこかに落としてしまう」といったことも起こりやすくなります。こうした「床に落としていた1錠」を小さな子どもが見つけると、PTPシートごと誤飲する、あるいは薬を取り出して誤飲してしまう、といった事故に繋がる可能性があります。

「子どもの薬の誤飲事故」を防ぐために~孫を迎える高齢者宅でできる3つの対策の画像1

つまり、薬を「1錠」だけのバラバラの状態に切り離して管理する方法は、自身の誤飲リスクを高めるだけでなく、落としても気づかず子どもに拾われてしまうリスク、さらに視認性も悪くなって3)飲み間違えるリスクなどにも繋がります。こうした習慣は、日頃からなるべく避けておくように指導することが大切です。

指導のポイント

☞薬は、「1錠」だけのバラバラの状態には切り離さない方が良い
☞孫が来る前には、床などに薬を落としていないか、しっかり掃除と片付けを行う

すべてのコラムを読むにはm3.com に会員登録(無料)が必要です

こちらもおすすめ

児島 悠史の画像

児島 悠史
こじま ゆうし

薬剤師 / 薬学修士 / 日本薬剤師会JPALS CL6。
2011年に京都薬科大学大学院を修了後、薬局薬剤師として活動。
「誤解や偏見から生まれる悲劇を、正しい情報提供と教育によって防ぎたい」という理念のもと、ブログ「お薬Q&A~Fizz Drug Information」やTwitter「@Fizz_DI」を使って科学的根拠に基づいた医療情報の発信・共有を行うほか、大学や薬剤師会の研修会の講演、メディア出演・監修、雑誌の連載などにも携わる。
主な著書「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100(羊土社)」、「OTC医薬品の比較の比較と使い分け(羊土社)」。

キーワード一覧

薬剤師の気になるトピックをお届け!今月の特集

この記事の関連記事

この記事に関連するクイズ

アクセス数ランキング

新着一覧

26万人以上の薬剤師が登録する日本最大級の医療従事者専用サイト。会員登録は【無料】です。

薬剤師がm3.comに登録するメリットの画像

m3.com会員としてログインする

m3.comすべてのサービス・機能をご利用いただくには、m3.com会員登録が必要です。

注目のキーワード

禁忌 医薬品情報・DI 調剤 調剤報酬改定 薬物療法・作用機序 服薬指導 派遣薬剤師 薬局経営 年収・待遇 OTC医薬品