薬剤師の気になるトピックをお届け!今月の特集

更新日: 2023年7月25日 児島 悠史

熱中症・脱水対策には、「スポーツドリンク」ではなく「経口補水液」を使わなければならない?

熱中症・脱水対策には、「スポーツドリンク」ではなく「経口補水液」を使わなければならない?メインの画像1

夏も本番を迎え、熱中症や脱水対策の注意喚起が盛んに行われるようになってきました。そんな中で、水分や電解質の補給は熱中症や脱水を防ぐための重要なポイントになりますが、「経口補水液」と「スポーツドリンク」は具体的に何が違って、どのように使い分ければ良いのか、基本的なポイントを押さえておきましょう。

ポイント1: 基本的には、どっちでも良い

時々、「熱中症や脱水予防には「経口補水液」でなければならない、「スポーツドリンク」では代わりにならない」……と誤解している人がおられますが、基本的に熱中症や脱水対策として用いるのであれば、「経口補水液」でも「スポーツドリンク」でもどちらでもOKです。実際、日本救急医学会の「熱中症診療ガイドライン2015」でも、熱中症予防には市販の経口補水液、あるいは市販のスポーツドリンクでも十分であると記載されています1)

というのも、夏場の熱中症や脱水は、発汗によって大量の水分と電解質を失うことによって起こる「等張性脱水」が多いため、水分や電解質・糖分を豊富に含む「経口補水液」と「スポーツドリンク」のどちらを選んでも、これを是正することができるからです。

熱中症・脱水対策には、「スポーツドリンク」ではなく「経口補水液」を使わなければならない?の画像1

むしろ、汗をかいて水分だけでなくNaなどの電解質も一緒に失っている状態なのに、水ばかり飲んでいると、体は次第に電解質が足りない「低張性脱水」になっていきます2)。そのため、夏場の水分補給の際には水分だけでなく電解質も合わせて補給できる「経口補水液」や「スポーツドリンク」を活用することが重要になります。

すべてのコラムを読むにはm3.com に会員登録(無料)が必要です

こちらもおすすめ

児島 悠史の画像

児島 悠史
こじま ゆうし

薬剤師 / 薬学修士 / 日本薬剤師会JPALS CL6。
2011年に京都薬科大学大学院を修了後、薬局薬剤師として活動。
「誤解や偏見から生まれる悲劇を、正しい情報提供と教育によって防ぎたい」という理念のもと、ブログ「お薬Q&A~Fizz Drug Information」やTwitter「@Fizz_DI」を使って科学的根拠に基づいた医療情報の発信・共有を行うほか、大学や薬剤師会の研修会の講演、メディア出演・監修、雑誌の連載などにも携わる。
主な著書「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100(羊土社)」、「OTC医薬品の比較の比較と使い分け(羊土社)」。

キーワード一覧

薬剤師の気になるトピックをお届け!今月の特集

この記事の関連記事

この記事に関連するクイズ

アクセス数ランキング

新着一覧

26万人以上の薬剤師が登録する日本最大級の医療従事者専用サイト。会員登録は【無料】です。

薬剤師がm3.comに登録するメリットの画像

m3.com会員としてログインする

m3.comすべてのサービス・機能をご利用いただくには、m3.com会員登録が必要です。

注目のキーワード

禁忌 医薬品情報・DI 調剤 調剤報酬改定 薬物療法・作用機序 服薬指導 派遣薬剤師 薬局経営 年収・待遇 プロブレム