薬にも含まれる「アスパルテーム」、発がん性のリスクは?~IRACの分類を正しく理解しよう
2023年7月14日、WHO(世界保健機関)の傘下にある国際がん研究機関(IARC)が、人工甘味料「アスパルテーム」に対して“発がん性の可能性”を指摘したことで、大きな話題になっています。しかし、そのリスクの“程度”や“確からしさ”まではあまり正確に報道されておらず、特にSNSやインターネットでは「アスパルテーム」をまるで危険物や毒物のように扱うような主張まで広まっています。「アスパルテーム」は医薬品の添加物としても広く用いられているため、自分が服用している薬にも含まれていることを知ると、患者さんは強い不安を感じる可能性があります。相談を受けた際にはしっかりと対応できるよう、今回の話題のポイントを簡単におさらいしておきましょう。
Q.1:「アスパルテーム」って、そもそも何?
「アスパルテーム」は、アミノ酸の「アスパラギン酸」と「フェニルアラニン」が結合した物質です。砂糖とほぼ同等のカロリー(約4kcal/g)ですが、砂糖よりも甘味が200倍ほど強いため、砂糖よりも低カロリーの代替物として食品・飲料などによく配合されています。
Q.2:「アスパルテーム」はどの医薬品に含まれる?
「アスパルテーム」は、先発医薬品・後発医薬品を問わず、様々な領域の医薬品に添加物として用いられています。一例を挙げると、「アセトアミノフェン」や「カルボシステイン」といった小児によく用いられるドライシロップ製剤のほか、「アムロジピン」や「ファモチジン」の錠剤のように使用頻度の高い製剤も該当します。実際、PMDA(医薬品医療機器総合機構)のページ で、組成に「アスパルテーム」を含む添付文書を検索すると400品目以上がヒットすることからも、「アスパルテーム」は非常に多くの医薬品に含まれていることがわかります。