薬剤師の気になるトピックをお届け!今月の特集

更新日: 2023年8月12日 児島 悠史

薬にも含まれる「アスパルテーム」、発がん性のリスクは?~IRACの分類を正しく理解しよう

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2023年7月14日、WHO(世界保健機関)の傘下にある国際がん研究機関(IARC)が、人工甘味料「アスパルテーム」に対して“発がん性の可能性”を指摘したことで、大きな話題になっています。しかし、そのリスクの“程度”や“確からしさ”まではあまり正確に報道されておらず、特にSNSやインターネットでは「アスパルテーム」をまるで危険物や毒物のように扱うような主張まで広まっています。「アスパルテーム」は医薬品の添加物としても広く用いられているため、自分が服用している薬にも含まれていることを知ると、患者さんは強い不安を感じる可能性があります。相談を受けた際にはしっかりと対応できるよう、今回の話題のポイントを簡単におさらいしておきましょう。

Q.1:「アスパルテーム」って、そもそも何?

「アスパルテーム」は、アミノ酸の「アスパラギン酸」と「フェニルアラニン」が結合した物質です。砂糖とほぼ同等のカロリー(約4kcal/g)ですが、砂糖よりも甘味が200倍ほど強いため、砂糖よりも低カロリーの代替物として食品・飲料などによく配合されています。

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Q.2:「アスパルテーム」はどの医薬品に含まれる?

「アスパルテーム」は、先発医薬品・後発医薬品を問わず、様々な領域の医薬品に添加物として用いられています。一例を挙げると、「アセトアミノフェン」や「カルボシステイン」といった小児によく用いられるドライシロップ製剤のほか、「アムロジピン」や「ファモチジン」の錠剤のように使用頻度の高い製剤も該当します。実際、PMDA(医薬品医療機器総合機構)のページ で、組成に「アスパルテーム」を含む添付文書を検索すると400品目以上がヒットすることからも、「アスパルテーム」は非常に多くの医薬品に含まれていることがわかります。

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児島 悠史
こじま ゆうし

薬剤師 / 薬学修士 / 日本薬剤師会JPALS CL6。
2011年に京都薬科大学大学院を修了後、薬局薬剤師として活動。
「誤解や偏見から生まれる悲劇を、正しい情報提供と教育によって防ぎたい」という理念のもと、ブログ「お薬Q&A~Fizz Drug Information」やTwitter「@Fizz_DI」を使って科学的根拠に基づいた医療情報の発信・共有を行うほか、大学や薬剤師会の研修会の講演、メディア出演・監修、雑誌の連載などにも携わる。
主な著書「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100(羊土社)」、「OTC医薬品の比較の比較と使い分け(羊土社)」。
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