薬剤師の気になるトピックをお届け!今月の特集

更新日: 2023年8月25日 児島 悠史

「アムロジピン」と「ニフェジピン」、妊婦禁忌の解除で何が変わる?~高血圧の第一選択薬とこれまでの選択肢

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妊娠中の女性にとって、「降圧薬」の選択肢は非常に少なかった

高血圧の第一選択薬には、ARB、ACE阻害薬、Ca拮抗薬、サイアザイド系利尿薬、β遮断薬の5種が挙げられています1)。このうち、積極的適応も多く、最もよく用いられているARBやACE阻害薬については、妊娠中に使用することによって、胎児の死亡や低血圧、腎不全、高カリウム血症のほか、羊水減少に伴う四肢の拘縮、脳や頭蓋、肺の形成不全など様々なリスクが上昇することが確認されています2,3,4)。そのため、妊娠中の女性や妊娠の可能性がある女性は使用を避け、妊娠が判明した場合には使用を中止するなど、しっかりと“禁忌”としての対応が必要になります。このARB/ACE阻害薬のリスクについては、妊娠が判明しても投与を続けてしまっている事例が多いことから、2023年5月にも改めてPMDAから注意喚起が出されている5)ため、薬剤師としても注意喚起や周知徹底していく必要があります。

また、利尿薬については胎盤血流量の減少のリスクがあるほか、β遮断薬も心血管系の奇形リスクが指摘されており6)添付文書上も“禁忌”に指定されていることなどから、これらの薬も良い選択肢とはなり得ません。Ca拮抗薬も、妊娠20週以降であれば「ニフェジピン」が唯一使用できるものの、妊娠初期に使える薬はありませんでした。

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児島 悠史
こじま ゆうし

薬剤師 / 薬学修士 / 日本薬剤師会JPALS CL6。
2011年に京都薬科大学大学院を修了後、薬局薬剤師として活動。
「誤解や偏見から生まれる悲劇を、正しい情報提供と教育によって防ぎたい」という理念のもと、ブログ「お薬Q&A~Fizz Drug Information」やTwitter「@Fizz_DI」を使って科学的根拠に基づいた医療情報の発信・共有を行うほか、大学や薬剤師会の研修会の講演、メディア出演・監修、雑誌の連載などにも携わる。
主な著書「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100(羊土社)」、「OTC医薬品の比較の比較と使い分け(羊土社)」。

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