薬剤師の気になるトピックをお届け!今月の特集

更新日: 2023年11月30日 児島 悠史

「アセトアミノフェン」は、アスピリン喘息の人でも安全に使える?~添付文書改訂の背景を知ろう

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「アセトアミノフェン」の添付文書で禁忌制限が解除されるのは、前回の記事で紹介した消化性潰瘍の他に、「アスピリン喘息」も含まれます1)。「アスピリン喘息」の患者は解熱・鎮痛を目的に使える薬が少なかったため、「アセトアミノフェン」の禁忌が解除されるのは喜ばしいことではありますが、「アセトアミノフェン」でアスピリン喘息を誘発することは本当にないのか、その具体的な安全性やリスクの程度はしっかりと押さえておく必要があります。

そもそも「アスピリン喘息」って何?

「アスピリン喘息」とは、主にNSAIDsを使ったことで起こる、喘息発作を中心にした過敏反応のことです。詳しいメカニズムは明らかになっていませんが、NSAIDsが持つシクロオキシゲナーゼ(COX)阻害作用によって「ロイコトリエン」の過剰産生が起こり、気管支収縮・血管透過性亢進・鼻粘膜腫脹といった反応を起こす、と考えられています2)

名前の通り“喘息症状”を起こすものですが、それに先立ってNSAIDs使用1~2時間後に“鼻づまり”の症状が現れるのが特徴です。また、最初のうちはこうした鼻症状しか現れなかったものが、次第に喘息症状も現れるようになる、といった経過をたどることも多い傾向にあります。

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児島 悠史
こじま ゆうし

薬剤師 / 薬学修士 / 日本薬剤師会JPALS CL6。
2011年に京都薬科大学大学院を修了後、薬局薬剤師として活動。
「誤解や偏見から生まれる悲劇を、正しい情報提供と教育によって防ぎたい」という理念のもと、ブログ「お薬Q&A~Fizz Drug Information」やTwitter「@Fizz_DI」を使って科学的根拠に基づいた医療情報の発信・共有を行うほか、大学や薬剤師会の研修会の講演、メディア出演・監修、雑誌の連載などにも携わる。
主な著書「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100(羊土社)」、「OTC医薬品の比較と使い分け(羊土社)」。

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