薬剤師の気になるトピックをお届け!今月の特集

更新日: 2023年12月24日 児島 悠史

「二日酔い」への根本的な原因へのアプローチ~薬以外にも提案できること

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前回解説した通り、「二日酔い」では色々な症状が現れますが、それは「二日酔い」が単一の原因で起こるものではなく、アルデヒドの蓄積、ホルモンバランスの崩れ、睡眠不足、疲労、脱水、低血糖、酸化ストレスなど1)、様々なものが複雑に絡み合って起こることが1つの要因です。そのため、これら様々な原因に対して、1つずつ各個に対処していくことが、「二日酔い」を根本的に解決するための基本になります。

今回は、この「二日酔い」の根本的解決のために推奨できることを解説します。薬を販売する際には、是非あわせて指導・提案を行うようにしてください。

☞「脱水」を解消しよう

「二日酔い」の状態でまず優先すべきは、“脱水状態”の解消です。お酒を飲んでいるときにはあまり“お茶”などを飲まないため純粋な水分摂取量が少なくなる傾向にあること、アルコールの利尿作用によってトイレが近くなって体から水分が出ていきやすくなること、さらにアルコールの分解にも水を消費することなどから、「二日酔い」のときは脱水状態にもある可能性が高いと言えます。

そのため、まずはしっかりと水分補給をすることが大切(※水分摂取量に制限がある人を除く)です2)。ただし、「カフェイン」を含む飲料では、利尿作用が上回って水分補給にならない可能性4)もあります。このことから、普通の水、あるいはカフェインの少ないお茶、あるいは経口補水液などを活用するのが良いと考えられます。ちなみに、こうした水分補給はNSAIDsを使った際の胃・腎臓への負担を軽減することにも役立ちます。

なお、このときあまり“冷たい”ものを飲むと頭痛が悪化する3)恐れがあるため、温かいものにしておいた方が無難です。さらに、“迎え酒”の効果も確認はされていません3)ので、オススメするわけにはいきません。

ちなみに、お酒の席でも水をこまめに飲んでおくこと(やわらぎ水)については、その効能を明確に示すエビデンスはありませんが、理論的にも妥当で、経済的・身体的負担もなく、各酒造なども推奨している“節度ある飲酒”のための重要な手段になります。

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児島 悠史
こじま ゆうし

薬剤師 / 薬学修士 / 日本薬剤師会JPALS CL6。
2011年に京都薬科大学大学院を修了後、薬局薬剤師として活動。
「誤解や偏見から生まれる悲劇を、正しい情報提供と教育によって防ぎたい」という理念のもと、ブログ「お薬Q&A~Fizz Drug Information」やTwitter「@Fizz_DI」を使って科学的根拠に基づいた医療情報の発信・共有を行うほか、大学や薬剤師会の研修会の講演、メディア出演・監修、雑誌の連載などにも携わる。
主な著書「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100(羊土社)」、「OTC医薬品の比較の比較と使い分け(羊土社)」。

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