新型コロナ「抗原検査キット」、PCR検査との精度の差と使い分け
前回の記事では、「抗原検査」の精度や偽陰性のメカニズム、また医療用・一般用・研究用の違いを解説しましたが、現在、新型コロナウイルスに感染しているかを検査する方法としては、「抗原検査」のほかに「PCR検査」もあります。今回はこの2つの検査方法について、その違いや特徴を解説します。
「抗原検査」と「PCR検査」の違いは?
抗原検査は、イムノクロマトグラフィー法によりSARS-CoV-2を構成する特定のタンパクを検出する方法です。ある閾値を境に定性的に陽性・陰性の結果を判定します。
PCR検査は、ウイルスの遺伝情報(RNA)を増幅して検出する方法です。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により、微量のウイルスRNAを何千、何万倍にも増やしてから検出します。
ウイルス量が増加する感染初期は、PCR検査で陽性と判定された人が抗原検査キットで陰性となる事があります。そして最初のPCR検査で陽性となる約1~2日後に抗原検査キットで陽性となることがあります。
「抗原検査」は、「PCR検査」よりも短時間で判定ができるという点で便利ですが、その反面、ウイルス量が少ない場合は感染しているのに“陽性”と判定されない場合(偽陰性)があります。つまり、「抗原検査」は迅速な判断が必要な場面で有用ですが、確定診断や精度が重要な場合は「PCR検査」が推奨されます。また、症状はあるが抗原検査で陰性だった場合は、PCR検査で再検査することもあります。
利点 | 欠点 | |
抗原検査 | 結果が早く出る(通常は15〜30分 以内)、手軽でコストが比較的低い。 |
ウイルス量が少ない初期段階では感染を見逃す 可能性が高い(偽陰性のリスクがある)。 |
PCR検査 | 非常に高い感度で、ウイルス量が 非常に少ない場合でも検出可能。 |
検査結果が出るまでの時間が長い(数時間から 1日以上)、専門的な機器が必要、コストが比較的高い。 感染リスクが乏しい場合も陽性とでる場合がある。 |