薬剤師の気になるトピックをお届け!今月の特集

更新日: 2024年2月11日 児島 悠史

花粉症アップデート.2~ステロイド点鼻薬、2つの制限解除で使いやすくなった

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「ステロイドの点鼻薬」のラインナップ

「ステロイドの点鼻薬」は、内服の抗ヒスタミン薬よりも花粉症の症状を抑える効果が高く1)、また眠くなる副作用もないことから、有効性や安全性の面からも優れた薬と言えます。日本のガイドラインでは、数年前まで中等症や重症の人にしか推奨されていなかったこともあり、今でも“症状がひどくなってきてからしか使えない薬”と思い込んでいる人も多いですが、現在は軽症の人や初期療法の際にも第一選択とされています2)

そんな「ステロイドの点鼻薬」ですが、OTC医薬品としても販売されているため、花粉症のセルフメディケーションにおいても選択肢になります(表1)。

成分名 1日の回数 医療用医薬品 OTC医薬品
モメタゾン フランカルボン酸エステル水和物 1回 ナゾネックス -
フルチカゾン フランカルボン酸エステル 1回 アラミスト -
デキサメタゾン シペシル酸エステル 1回 エリザス -
フルチカゾン プロピオン酸エステル 2回 フルナーゼ フルナーゼ点鼻薬
ベクロメタゾン プロピオン酸エステル 2回 - ナザールαAR
パブロン鼻炎アタックJL
エージーアレルカットEXc

表1.「ステロイドの点鼻薬」の販売状況

残念ながら、1日1回の噴霧で良い製剤は医療用医薬品としてしか販売されていないため、OTC医薬品の「ステロイドの点鼻薬」はいずれも1日2回の噴霧が必要です。そのため、利便性の面では確かにやや劣るのは事実ですが、有効性の面では特に劣るようなものではありません3)

ステロイドの点鼻薬(OTC医薬品)にかけられた制限

「ステロイドの点鼻薬」でも内服の抗ヒスタミン薬(☞前編)と同じように、OTC医薬品では医療用医薬品よりも色々な面で厳しめの制限が設けられています。しかし、近年は薬の実態にそぐわない制限が解除されるなど、OTC医薬品の「ステロイドの点鼻薬」も花粉症治療に対して非常に使いやすい薬となってきています。

※高血圧や糖尿病、緑内障の人に対する使用制限

「ステロイド」には、代謝に影響して血圧や血糖値、眼圧を上昇させる薬理作用があります。“点鼻”という投与方法であっても、少なからず全身に作用する恐れがあるという考え方から、以前は医療用医薬品も含めて、「ステロイドの点鼻薬」も高血圧や糖尿病・緑内障の患者に対して使用しないように制限されていました。

しかし、鼻粘膜から吸収される薬物量は1%未満と極めて微量4)であることから、

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児島 悠史
こじま ゆうし

薬剤師 / 薬学修士 / 日本薬剤師会JPALS CL6。
2011年に京都薬科大学大学院を修了後、薬局薬剤師として活動。
「誤解や偏見から生まれる悲劇を、正しい情報提供と教育によって防ぎたい」という理念のもと、ブログ「お薬Q&A~Fizz Drug Information」やTwitter「@Fizz_DI」を使って科学的根拠に基づいた医療情報の発信・共有を行うほか、大学や薬剤師会の研修会の講演、メディア出演・監修、雑誌の連載などにも携わる。
主な著書「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100(羊土社)」、「OTC医薬品の比較の比較と使い分け(羊土社)」。

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