薬剤師も知っておきたい「感染後咳嗽」、その特徴や見分け方~新型コロナやインフルエンザの流行で増える咳の症状
新型コロナウイルス感染症やインフルエンザなどの流行によって、いま多く発生していると考えられるのが「感染後咳嗽」です。基本的に「感染後咳嗽」は時間経過で自然に治癒しますが、こうした“長引く咳”の中には肺炎や結核といった感染症、あるいは気管支喘息のようなアレルギー疾患、場合によっては逆流性食道炎なども潜んでいることがあり、安易な決めつけは危険です。そこで今回は、薬剤師としても知っておきたい、「感染後咳嗽」を見分ける際のポイントを解説します。
「感染後咳嗽」って何?
新型コロナやインフルエンザを含め、上気道感染症を発症した際は、痰の絡んだ“湿った咳”が出るのが一般的です。通常、こうした咳は感染症が治癒するとともに自然と落ち着いていきますが、ときどき、痰の絡まない“乾いた咳”に変わりながら何週間も続くことがあります(図1)。これを一般的に「感染後咳嗽」と呼びます。
図1:「感染後咳嗽」のイメージ
明確な原因はわかっていませんが、気道の炎症や粘膜の損傷、あるいは一時的に咳反応が過敏になっていることなどが関係していると考えられています。
多くの場合、「感染後咳嗽」は風邪の咳から引き続いて起こるため、どこまでが「風邪の咳」でどこからが「感染後咳嗽」なのか、明確な線引きは困難です。ただ、「風邪の咳」は平均で17.8日間ほど続くとされている1)ほか、感染症の後に乾いた咳が3~8週間続く場合には「感染後咳嗽」を疑うとされている2)ため、風邪をひいてから「2~3週間」くらいで「風邪の咳」から「感染後咳嗽」へと徐々に切り替わっていくと考えるのが妥当です。
「感染後咳嗽」は、生命にかかわる?
「感染後咳嗽」では風邪から引き続いて何週間も咳が長引くため、体力を大きく消耗します。また、労働生産性や学習効率を低下させるだけでなく、特に夜間に症状が悪化する傾向にある3)ため、ほとんどの人で睡眠障害も引き起こします4)。子どもの場合、こうした夜間の咳で親も睡眠不足になり、そのまま“生命に関わるような事態”に陥るのではないか、と強い不安を感じる原因にもなります5)。
一方で、