子どもの服薬指導アップデート.1~どのジュース・アイスと混ぜると飲みやすくなる?
子どもに薬を飲んでもらうために、薬を「ジュース」や「アイスクリーム」と混ぜる方法を提案することはよくあると思います。しかし、このとき薬剤師が説明の仕方を間違えると、余計に薬を読みづらくさせてしまうこともあります。こういったことを起こさないように、今回は服薬指導で「ジュース」や「アイスクリーム」と混ぜる方法を提案する際に考えたいこと、押さえておきたいポイントを解説します。
POINT①:相性の良いジュースやアイスは、薬によって異なる
一般的に、「甘味」や「脂質」「粘度」「芳香」「カルシウムイオン濃度」が高く、「温度」の低いものほど、薬の苦味を抑制しやすい、とされています1)。そのため、たとえば「練乳」や「バニラ味のアイスクリーム」などは、薬の苦味をマスクするのに非常に適していることになります。実際、「バニラ味のアイスクリーム」は“飲みづらい”ことで有名なマクロライド系抗菌薬の「クラリスロマイシン」や「アジスロマイシン」のドライシロップ製剤でも“飲みやすくなる”とされている2)など、子どもの服薬支援に非常に役立つアイテムと言えます。
では、「バニラ味のアイスクリーム」で全ての薬が飲みやすくなるかというと、そういうわけでもありません。たとえばインフルエンザ治療に用いる「オセルタミビル」のドライシロップ製剤は、「バニラ味のアイスクリーム」と相性が悪く、混ぜるとかえって変な風味になって飲みづらくなることが知られています2)。
つまり、「薬はジュースやアイスクリームであれば、何と混ぜてもだいたい飲みやすくなる」わけではなく、「ある薬と相性の良い薬が、他の薬とも相性が良い」とも限らない、ということです。そのため、薬剤師は薬ごとに相性の良い「ジュース」や「アイスクリーム」を個別に把握しておき、処方されている薬に合わせて毎回異なる服薬指導を行う必要があります。まずは、下記のような処方頻度の高い、代表的な薬の相性を押さえて服薬指導をアップデートしておきましょう。
飲みやすくなる薬の例 | 飲みづらくなる薬の例 | |
オレンジジュース | クラバモックス、サワシリン | クラリス、ジスロマック |
りんごジュース | サワシリン、オゼックス | クラバモックス、タミフル |
スポーツドリンク | タミフル | クラリス、オゼックス |
バニラ味のアイスクリーム | クラリス、ジスロマック | タミフル |
※薬によって相性の良い/悪いが変わるジュース・アイスクリームの例
余裕が出てきたら・・・
よくあるのが、親御さんが「前回の薬と同じように飲ませよう」と自己判断して、今回の薬とは相性の悪いジュースやアイス等と混ぜてしまう、というケースです。こういったことがあると、子どもの“薬嫌い”はますます悪化して、服薬はより大変になってしまう恐れがあります。このようなトラブルを起こさないためには、