子どもの熱さまし、体温は「何℃」を超えたら使えば良い?~服薬指導のコツ1:薬を使う目安
「患者さんからの質問に的確な回答・アドバイスをする」というのは、薬剤師による服薬指導の最も基本的なミッションの1つです。しかし、どんな回答やアドバイスが“的確なもの”なのか、どんな服薬指導をすれば患者さんから感謝や信頼を得ることができるのか、は非常に難しい問題でもあります。そこで今回は、現場でよく出会う“子どもの熱さまし”に関する質問に対して、ワンランク上の服薬指導をするためにはどんなことを考えれば良いのか、そのポイントを解説します。
Q.熱さましはいつ使えば良い?(一般的な回答)
保護者 「この熱さましの薬は、いつ使ったら良いですか?」
薬剤師 「熱があるときに使ってください」
よくあるのが、「熱さましの薬は“いつ”使えば良いのか」という、服薬のタイミングに関する質問です。通常、熱さましの薬は「頓服薬」として処方されるため、「1日3回毎食後」のように決められた用法がなく、自分で服用のタイミングを判断しなければならないからです。
ここで薬剤師が「熱がある時に使ってください」と答えた場合、この内容には薬学的には薬学的に全く誤りはありません。「アセトアミノフェン」などの解熱鎮痛薬を頓服薬として用いる際の使い方としては、非常に正しい模範的な回答と言えます。しかし、このアドバイスを聞いた親御さんの疑問や不安がすっと解消するかというと、そうとも限りません。“どのくらいの熱や痛み”がある場合に使えば良いのか、その判断の目安は相変わらずわからないままだからです。
考えたいこと:熱さましは、体温が何度くらいになったら使う?
まず考えたいのが、熱さましの薬は「体温が何度くらいのとき」に使うのか、という点です。これについては、「37.5℃」「37.8℃」「38.0℃」「38.5℃」と様々な意見がありますが、これらの数字には下記のような背景があります。
37.5℃
日本の感染症法では、「37.5℃」以上を“発熱”と定義しています。そのため、“熱があるとき”という意味で「37.5℃」を1つの線引きにすることがあります。
37.8℃
華氏100度が、だいたい摂氏「37.8℃」です(数式:(37.8×1.8)+32)。海外では、キリの良い「華氏100度」以上を“熱”と定義しているところがあるため、その影響と考えられます。