薬剤師の気になるトピックをお届け!今月の特集

更新日: 2024年5月27日 児島 悠史

GLP-1受容体作動薬~ハイリスク薬の服薬指導と薬歴記載のポイント2.治療を続けているとき

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GLP-1受容体作動薬による治療を継続している時の要チェックポイント

自己注射は、継続使用しているうちに“自己流”にアレンジされてしまう
同じ“吐き気”でも、継続使用中に現れたものは胆道疾患や急性膵炎の可能性
高齢者では、食欲抑制がサルコペニア・フレイルに繋がる恐れ

注射薬は、使い続けているうちに“自己流”になり、アドヒアランスも低下しやすい

GLP-1受容体作動薬は、『リベルサス錠』を除いてほとんどが注射薬のため、適切に注射を行えているかどうかを定期的に確認する必要があります。通常、自己注射の薬を長期間使い続けている患者では、次第にその使い方が“自己流”にアレンジされてきて、不適切な手技になってしまうことが多々あるからです1)。また、保管方法についても、いつの間にか“いい加減なもの”になってきてしまうことがあります。使用前は冷所保管、使用中は室温保管する製剤が多いため、その認識に間違いが生じていないか定期的に確認しておくことも必要です。

なお、糖尿病治療では一般的に、内服薬よりも注射薬で服薬アドヒアランスが低くなる傾向にあります2)。実際にGLP-1受容体作動薬では、治療開始から6ヶ月後には、薬を8割ほど使えている人の割合は“週1回投与”の便利なタイプであっても53.4%、“毎日投与”が必要なタイプでは48.1%程度にまで低下する、とされています3)。GLP-1受容体作動薬では、服薬アドヒアランスを著しく悪化させる「低血糖」や「体重増加」といった副作用は少なめですが、注射手技が面倒だったり、薬の値段が比較的高かったりといった要因が治療継続の支障になっていないか、定期的に薬への意識を確認しておくことが大切です。

☞服薬指導・薬歴記載のポイント

定期的な注射手技、服薬アドヒアランスや残薬の確認

同じ消化器症状でも、継続使用中に現れたものは胆道疾患や急性膵炎の初期症状かもしれない

GLP-1受容体作動薬の開始時によく現れる吐き気・下痢といった消化器症状の多くは、

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児島 悠史
こじま ゆうし

薬剤師 / 薬学修士 / 日本薬剤師会JPALS CL6。
2011年に京都薬科大学大学院を修了後、薬局薬剤師として活動。
「誤解や偏見から生まれる悲劇を、正しい情報提供と教育によって防ぎたい」という理念のもと、ブログ「お薬Q&A~Fizz Drug Information」やTwitter「@Fizz_DI」を使って科学的根拠に基づいた医療情報の発信・共有を行うほか、大学や薬剤師会の研修会の講演、メディア出演・監修、雑誌の連載などにも携わる。
主な著書「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100(羊土社)」、「OTC医薬品の比較の比較と使い分け(羊土社)」。

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