半錠可否の調べ方 1~割線の有無と錠剤のタイプ
- 添付文書でも「割線」があると明記されている錠剤は、基本的にこれに沿って半分に割ることができる
- 添付文書で「割線」と明記されていない溝でも、“だいたい半分”で良ければ分割できる
- 「徐放錠」や「腸溶錠」は、溶出システムが壊れるため半分に割るのは避ける(例外もある)
- 「割線の有無」や「錠剤のタイプ」は、mgが違うと変わることがある
用量を微調節したいとき、錠剤が大きくて飲みづらいとき、その錠剤を半分に割る(半錠)ことがあります。しかし、錠剤の中にはこうした分割をすることで、薬本来の有効性や安全性が失われてしまうものもたくさんあります。
患者さんが自己判断で半分に割ってしまうケースだけでなく、製剤特性にあまり詳しくない医師や看護師もうっかりやってしまうことがあるため、薬剤師は「半分に割っても良いのかどうか」という可否の判断とその理由を、それぞれ専門家としてしっかり説明できる必要があります。
今回は、この半錠可否の調べ方や注意点について、基本的なところをおさらいします。
半錠可否を調べるポイント①:「割線」があるかどうか
“半分に割っても良い錠剤かどうか”を手っ取り早く確認するには、その錠剤に「割線」があるかどうかを調べるのがオススメです。
「割線」とは、錠剤を2分するようについている“溝”のことで、これに沿って力を加えれば簡単に半分に割れるようになっているものです。
基本的にこの「割線」がついている錠剤は、“半分に割ることを想定”して作られているため、半分に割っても薬の溶出や吸収などに問題は生じないと考えることができます。この「割線」の有無は錠剤そのものを見ればだいたい判断できますが、添付文書の「3.2 製剤の性状」の項目を参照することでも確認できます。
この「割線」に明確な定義があるわけではありませんが、基本的には「この線に沿って錠剤を分割した場合、分割してできた片には有効成分が同量で含有されている」ことを保証した線・・・として扱われています。
実際に厚生労働省が公開しているチェックリストでは、この「割線」を設けるには分割後の均一性などのデータを記載するよう設定されています1)。
つまり、「割線」のある錠剤であれば、この「割線」に沿って半分に割れば有効成分も等量で分割することができる、と考えられます。
「割線」とは明記されていない“溝”はどう考えれば良いか?
たとえば『フルイトラン錠』のように、錠剤の外観を見ると「割線」があるように見えても、添付文書を調べると「割線」とは記載されておらず、ただの“溝”や“模様”としてしか扱われていないことはよくあります。
このような場合、半分に割ってはいけない錠剤として扱う必要があるでしょうか。