「トリプルワーミー」って何?~患者を守るために知っておくべき薬の組み合わせとリスク・傾向
- 「トリプルワーミー」は、どんな薬の組み合わせか
- 「トリプルワーミー」は、なぜ発生しやすいのか
- 「トリプルワーミー」は、なぜ急性腎障害を起こすのか
「高血圧」で循環器内科、「腰痛」で整形外科に通っている…そんな患者さんはたくさんおられると思います。お薬手帳を確認して、“併用禁忌の薬”がなければ「問題ナシ」と判断してそのまま調剤し、いつも通りに服薬指導をすることも多いと思いますが、果たしてそれで本当に大丈夫だったでしょうか。
実は、この対応では意外と大きなリスクを見逃してしまっている可能性があります。それが、「トリプルワーミー」と呼ばれる薬の組み合わせで起こる、急性腎障害のリスクです。
「トリプルワーミー」って何?~3つの薬の組み合わせと急性腎障害のリスク
「トリプルワーミー(Triple Whammy)」とは、①「アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)/アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)」+「②利尿薬」+「③NSAIDs」という3つの薬の併用を指します。
これら3つの薬は、それぞれ異なる作用によって腎血流量を低下させるため、併用した場合は腎虚血がより起こりやすくなり、これが引き金となって急性腎障害を起こすことがあります1)。
もちろん、1つの薬だけでも急性腎障害を起こすリスクはありますが、1剤より2剤、2剤より3剤を併用したときの方が、腎血流量を“多方面から低下させる”ためリスクは高くなると考えられています2,3)。
こうした背景から、「ARB/ACE阻害薬」+「利尿薬」+「NSAIDs」の併用を「三段攻撃」になぞらえた「トリプルワーミー(Triple Whammy)」と呼びます。
①ARB/ACE阻害薬:腎臓の輸出細動脈の収縮を抑制することで、腎血流量を低下させる
②利尿薬:循環血流量を減少させることで、腎血流量を低下させる
③NSAIDs:腎臓の輸入細動脈を収縮させることで、腎血流量を低下させる