「トリプルワーミー」を見つけたらどうする?~服薬指導と疑義照会・処方提案時の4つのポイント
- 急性腎障害のリスクを軽減するための、服薬指導のひとこと
- 「NSAIDs」を、外用薬やアセトアミノフェンに変更する場合の注意点
- 「ARB/ACE阻害薬」を、Ca拮抗薬に変更する場合の注意点
「トリプルワーミー」(☞前編)は、基本的に添付文書上も“禁忌”に指定されるような組み合わせではなく、またそのリスクも投与期間や患者背景によって変わるため、すべての事例で薬剤師が介入し、処方変更を提案しなければならない、といった類のものではありません。
しかし、難しいのは「ARB/ACE阻害薬」も「利尿薬」も「NSAIDs」も、それぞれの診療科では“その患者さんのための最善の治療”に必要だと判断されて処方される比較的重要な薬のため、中止や変更を提案しづらい、という点です。薬剤師としては、ここを押さえた上での対応を考えたいところです。
「トリプルワーミー」に特に注意が必要な“高齢者”の場合はどうする?
「ARB/ACE阻害薬」+「利尿薬」+「NSAIDs」の併用(トリプルワーミー)による急性腎障害のリスクに最も注意が必要なのは、もともと加齢等によって腎機能が低下している高齢者1,2)です。
高血圧や糖尿病などの持病がある人では、なおさらです。では、「トリプルワーミー」の組み合わせになっている高齢者を見つけた場合はどのように対応すれば良いでしょうか。
対応例1:「脱水」にならないよう、服薬指導でしっかりと注意喚起をする
急性腎障害のリスク要因には様々なものがありますが、「脱水」もその1つです3)。そのため、薬の中止や変更をするほどのリスクではない患者さんの場合、あるいは何らかの事情で薬の変更ができない患者さんの場合には、服薬指導の際に「しっかりと水分補給をする」ように注意喚起することで、そのリスクを軽減するのが基本になります。
「トリプルワーミー」による急性腎障害は、薬を併用し始めて7~9日後くらいに最も多く起こると報告されている4)ことから、特に薬が追加になったタイミングでは念入りな注意喚起をしておいた方が良いと考えられます。
ただし、脱水を起こしやすい夏場、風邪などをひいて食事・飲水量が減ったときなどもハイリスクなため、「今まで使っていて問題なかったから大丈夫だろう」という油断は禁物です。シーズンごとの注意喚起、シックデイ時の対応なども含めた服薬指導が必要です。