薬剤師の気になるトピックをお届け!今月の特集

更新日: 2024年8月27日 児島 悠史

【小児の吸入薬】ドライパウダー式(DPI)と加圧噴霧式(pMDI)の違いって?

小児の吸入薬、デバイス選びのポイント_第1回の画像
☞この記事でわかること
  • 吸入薬の「デバイス」は、大きく分けてDPI・pMDI・SMIの3種に分類できること
  • ドライパウダー定量吸入器(DPI)の長所・短所と、使い始められる年齢の目安
  • 加圧噴霧式定量吸入器(pMDI)の長所・短所と、DPIへの切り替えのタイミング

吸入薬は、子どもの喘息治療に欠かせない重要な薬ですが、“飲めば良い”内服薬と違い、複雑なデバイス操作をこなし、適切な方法で吸入を行わなければ、十分な効果を得ることはできません。そのため、治療においては有効成分だけでなく「デバイス」の選び方も非常に重要になります。そこで今回は、状況に応じて上手な使い分けができるよう、小児の吸入薬を選ぶ上で重要になる「デバイス」の違いの基本をおさらいしておきましょう。

吸入薬、代表的な3つのタイプの長所・短所

気管支喘息などの治療に必須の吸入薬ですが、吸入治療では有効成分だけでなく「デバイス」の違いも効果に大きく影響するため、その違いを考慮して選択する必要があります。

このとき、吸入薬のデバイスには「ディスカス」や「タービュヘイラー」、「ブリーズヘラー」、「エアゾール」、「エアロスフィア」など様々な名称のものがあり、非常にたくさんの種類があるように思えますが、これらは基本的に「ドライパウダー定量吸入器(DPI)」、「加圧噴霧式定量吸入器(pMDI)」、「ソフトミスト定量吸入器(SMI)」の3種に大別することができます。

個々のデバイスによって細かな違いはありますが、まずはこの3種の大きな違いをもとに使い分けを考えるのが一般的です。

なお、これら3種のデバイスは、どれか1つが全面的に優れている、劣っているということはなく、いずれも一長一短の特徴を持ちます。誰かにとって適したデバイスが、別の誰かにとっては適さないデバイスになる、といったことが起こるため、個々の患者さんの状況に合ったデバイスを選ぶことが大切です。

ドライパウダー定量吸入器
(DPI)
加圧噴霧式定量吸入器
(pMDI)
ソフトミスト定量吸入器
(SMI)
長所 ・最も簡単に扱える
・デバイスの種類が豊富
・薬品臭が少ない
・廃棄が簡単(ガス不使用)
・吸気速度がなくても吸入できる ・DPIより弱い力でも吸入できる
・pMDIほど手技が難しくない
短所 ・吸気速度(吸う力)が弱いと
、薬を吸入できない
※小さな子どもや高齢者に不適
・吸入手技が難しい
※「薬を噴霧するタイミング」と「息
を吸うタイミング」の同調が必要
・製剤が少ない
製剤 ディスカス、タービュヘイラー
、ブリーズヘラー、エリプタ、
ジェヌエア、ハンディヘラー
ツイストヘラー、スイング
ヘラー、ディスクヘラーなど
エアゾール、エアロスフィアなど レスピマットなど

DPI:ドライパウダー定量吸入器~手技が最も簡単な第一選択

「ドライパウダー定量吸入器(DPI)」は、粉末状の薬を吸い込むタイプの吸入薬です。デバイスの操作は吸入薬の中で最も簡単で間違いにくく1)、また薬品臭がしないこと、廃棄が簡単であることなど様々な面で継続使用にも適しているため、多くの場合に“第一選択”となるデバイスです。

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児島 悠史
こじま ゆうし

薬剤師 / 薬学修士 / 日本薬剤師会JPALS CL6。
2011年に京都薬科大学大学院を修了後、薬局薬剤師として活動。
「誤解や偏見から生まれる悲劇を、正しい情報提供と教育によって防ぎたい」という理念のもと、ブログ「お薬Q&A~Fizz Drug Information」やTwitter「@Fizz_DI」を使って科学的根拠に基づいた医療情報の発信・共有を行うほか、大学や薬剤師会の研修会の講演、メディア出演・監修、雑誌の連載などにも携わる。
主な著書「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100(羊土社)」、「OTC医薬品の比較の比較と使い分け(羊土社)」。

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