小児吸入薬の補助器具「スペーサー」とは?どんな時に使う?切り替えのタイミングは?
- 補助器具「スペーサー」の意義と、「ネブライザー」との違い
- 「スペーサー」のマスク型、マウスピース型の違いと、切り替えの目安
前編で解説した通り、吸気流速(息を吸う力)が弱い小さな子どもの場合は「加圧噴霧式定量吸入器(pMDI)」を選ぶのが基本になりますが、このpMDIで適切な吸入治療を行うためには、特に3~4歳未満の子どもでは補助器具「スペーサー」が必要になる場合がほとんどです。今回は、この補助器具「スペーサー」の意義や使い方、切り替えのタイミングについての基本を解説します。
補助器具「スペーサー」は、何のために使う?
吸気流速(息を吸う力)が弱い小さな子どもの場合、「ドライパウダー定量吸入器(DPI)」では十分に薬を吸入できないため、「加圧噴霧式定量吸入器(pMDI)」のデバイスを選ぶのが基本になります。
しかし、「pMDI」を選んでおけばそれで吸入治療が問題なく進むかというと、そういうわけでもありません。
「pMDI」では、薬はガスと共に一気に噴霧されるため、そのタイミングに合わせて息を吸わないと、薬が霧散してしまって吸入できないからです。このことから、「pMDI」で吸入治療を行う際には、この“薬を噴霧するタイミング”と“息を吸うタイミング”を合わせる同調が極めて重要である、と言えます。
しかし、小さな子どもではこのタイミングの同調が非常に難しく、「pMDI」であっても適切に吸入できない、といった事態が多々起こります。
そこで選択肢になるのが「スペーサー」と呼ばれる補助器具です。「スペーサー」は、噴霧した薬を一時的に溜めておける容器型の構造になっているため、①薬をスペーサーの内部に噴霧する、②スペーサー内に噴霧された薬を吸い込む、といった2段階での吸入が可能になります。