【選定療養と薬の誤解】先発医薬品「ヒルドイド」の使い心地が一番ってホント?
- 4種の「ヘパリン類似物質」製剤の「使いやすさ」を評価したところ意外な結果に
- 「ヘパリン類似物質」のジェネリック医薬品の特長は、柔らかさと塗りやすさ
- 要注意!ジェネリック医薬品に変更しない方がいいケースがある
「ヘパリン類似物質」のジェネリック医薬品に対する誤解
前編で計算方法を紹介した通り、2024年10月以降、保湿剤の「ヘパリン類似物質」が処方された際に、“これまで通り先発医薬品を選ぶ”か、“ジェネリック医薬品に切り替える”かによって、薬局での支払い額(自己負担額)には毎回それなりの差が生じるようになります。
処方量 |
差額の目安 (3割負担) |
25g | 160~170円 |
50g | 320~340円 |
100g | 640~680円 |
150g | 970~1,040円 |
200g | 1,300~1,400円 |
250g | 1,620~1,740円 |
500g | 3,220~3,460円 |
参考:先発医薬品を選んだ場合と、ジェネリック医薬品を選んだ場合の自己負担額の差
しかし、「ジェネリック医薬品は先発医薬品よりも大きく劣る」といったような誤解を抱いたまま薬を変更すると、治療に良くない影響が出る恐れがあります。そのため、今回の“選定療養”をきっかけにジェネリック医薬品に切り替える患者さんに対しても、ジェネリック医薬品に対する誤解はしっかりと解消できるような説明を行うことが大切です。
“使い心地”を優先するなら、ジェネリック医薬品の選択が賢明⁉
「ヘパリン類似物質」を処方された際に先発医薬品を選ぶ理由として最もよくあるのが、“使い心地”の良いものを使いたい、というものです。
確かに、保湿剤の「ヘパリン類似物質」は、しっかりと十分量を塗布する必要があること、比較的長期に渡って使い続ける必要があること等から、なるべく“使い心地”のよい製剤を選ぶことが服薬アドヒアランスの維持という観点からも重要です。しかし、このことが敢えて値段の高い先発医薬品を選ぶ大きな理由にはならないかもしれません。
…というのも、“先発医薬品かジェネリック医薬品か”がわからない状態で、「ヘパリン類似物質」の各製剤の使いやすさを患者さんに評価してもらったところ、むしろジェネリック医薬品の方が先発医薬品よりも高く評価された、という報告1)があるからです。