薬剤師の気になるトピックをお届け!今月の特集

更新日: 2024年11月11日 児島 悠史

「小麦」「ごま」「もも」「やまいも」アレルギーの人が要注意の薬は?

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☞この記事でわかること
  • 「小麦アレルギー」の人にはハイリスクな漢方薬がある
  • 「小麦粉」や「コムギデンプン」、「小麦胚芽油」、「ごま油」は医薬品の添加物としてよく使われている
  • 漢方薬には、「ごま」「もも」「やまいも」「ゼラチン」由来の成分を含むものがたくさんある

前編で紹介したとおり、食物アレルギーの患者さんで注意したい薬としては、添付文書にも“禁忌”の指定がされている「牛乳」「卵」「ゼラチン」の3種がまず挙げられます。

しかし、食物アレルギーと関連した成分を含む医薬品はこれだけではありません。食品衛生法による表示が義務付けられている「小麦」、表示が推奨されている「ごま」「もも」「やまいも」「ゼラチン」に由来した成分を含む医薬品は、数多く存在します。

特に漢方薬では、食物アレルギーに関連した食品由来の生薬がよく用いられていますが、生薬の名前を見ただけでは何の食品かわかりにくいものもあるため、注意が必要です。

食品 生薬 漢方製剤の例
小麦 小麦:ショウバク 甘麦大棗湯
ごま 胡麻:ゴマ 消風散
もも 桃仁:トウニン 桂枝茯苓丸・桃核承気湯・大黄牡丹皮湯
・疎経活血湯・潤腸湯 など
やまいも 山薬:サンヤク 八味地黄丸、六味丸、牛車腎気丸、啓脾湯
ゼラチン 阿膠:アキョウ 猪苓湯・猪苓湯合四物湯・温経湯・芎帰膠艾湯
・炙甘草湯

「小麦」由来の成分を含む医薬品~生薬のショウバク、小麦粉、小麦胚芽油、コムギデンプン

「甘麦大棗湯」は、甘草(カンゾウ)、小麦(ショウバク)、大棗(タイソウ)の3つで構成される漢方薬ですが、「小麦(ショウバク)」とは文字通り小麦のことを指します。

実際に「甘麦大棗湯」からは小麦アレルギーの原因となる「グルテニン」や「グリアジン」といった小麦タンパクが検出されている1)ため、小麦アレルギーの患者さんに「甘麦大棗湯」を使うのは避けた方が無難です。

「小麦粉」や「コムギデンプン」が添加されている医薬品もある

なお、漢方薬以外にも、「アダプチノール錠」や「チョコラA錠」、「スピロペタン錠」には「小麦粉」、「アモバン錠」や「ケフラール細粒小児用」、「リンデロン散」などには「コムギデンプン」添加物として用いられています。

「小麦アレルギー」の患者さんの薬を選択する際には注意が必要です。

小麦由来の成分を含む医薬品

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児島 悠史
こじま ゆうし

薬剤師 / 薬学修士 / 日本薬剤師会JPALS CL6。
2011年に京都薬科大学大学院を修了後、薬局薬剤師として活動。
「誤解や偏見から生まれる悲劇を、正しい情報提供と教育によって防ぎたい」という理念のもと、ブログ「お薬Q&A~Fizz Drug Information」やTwitter「@Fizz_DI」を使って科学的根拠に基づいた医療情報の発信・共有を行うほか、大学や薬剤師会の研修会の講演、メディア出演・監修、雑誌の連載などにも携わる。
主な著書「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100(羊土社)」、「OTC医薬品の比較の比較と使い分け(羊土社)」。

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