薬剤師の気になるトピックをお届け!今月の特集

更新日: 2024年12月14日 児島 悠史

高齢者のポリファーマシー見直しに便利!「STOPP/START criteria」と「抗コリン薬リスクスケール」

高齢者のポリファーマシー見直しに便利!「STOPP/START criteria」と「抗コリン薬リスクスケール」のメイン画像
☞この記事でわかること
  • 「STOPP/START criteria」には、どのようなことが書かれているか
  • 「抗コリン薬リスクスケール」が、なぜ高齢者の多剤併用への対応に重要か

前編で、高齢者の多剤併用(ポリファーマシー)の問題に取り組むにあたっては、医師と患者さんの“薬に対する認識”を踏まえた上で対応を考える必要がある、ということを解説しました。

今回の後編では、高齢者の処方全体の見直しに役立つ「STOPP/START criteria」と、特定の副作用リスクの評価に役立つ「抗コリン薬リスクスケール」という2つの基準を紹介します。

高齢者の多剤併用を整理する際は、薬の「優先順位」を間違えてはならない

「明らかに患者に利益をもたらしていない薬」がもし見つかれば、その薬を減らすことは簡単です。しかし、実際の多剤併用ではそんな薬はなかなか見つかりません。

そのため、その患者さんが使っている個々の薬について、その薬の重要性や副作用リスクを踏まえて、ある程度の「優先順位」を考える必要があります。

この「優先順位」を間違うと、重要な薬を中断してしまって患者さんの生命予後やQOLに大きな悪影響を与えてしまう恐れがあるからです。

高齢者のポリファーマシー見直しに便利!「STOPP/START criteria」と「抗コリン薬リスクスケール」の画像

では、高齢者にとってはあまり重要でなく(※メリットが乏しく)、なおかつ副作用リスクの高い薬をどうやって見つけるかというと、色々と方法はありますが、今回は薬剤師にとっても扱いやすいツールを紹介したいと思います。

高齢者の“潜在的な不適切処方”を見つける「STOPP/START criteria: ver.3」

高齢者に対する処方全体の適正化に役立つ代表的なツールが、「STOPP/START criteria」と呼ばれる基準です1)

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児島 悠史
こじま ゆうし

薬剤師 / 薬学修士 / 日本薬剤師会JPALS CL6。
2011年に京都薬科大学大学院を修了後、薬局薬剤師として活動。
「誤解や偏見から生まれる悲劇を、正しい情報提供と教育によって防ぎたい」という理念のもと、ブログ「お薬Q&A~Fizz Drug Information」やTwitter「@Fizz_DI」を使って科学的根拠に基づいた医療情報の発信・共有を行うほか、大学や薬剤師会の研修会の講演、メディア出演・監修、雑誌の連載などにも携わる。
主な著書「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100(羊土社)」、「OTC医薬品の比較の比較と使い分け(羊土社)」。

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