高齢者のポリファーマシー見直しに便利!「STOPP/START criteria」と「抗コリン薬リスクスケール」
- 「STOPP/START criteria」には、どのようなことが書かれているか
- 「抗コリン薬リスクスケール」が、なぜ高齢者の多剤併用への対応に重要か
前編で、高齢者の多剤併用(ポリファーマシー)の問題に取り組むにあたっては、医師と患者さんの“薬に対する認識”を踏まえた上で対応を考える必要がある、ということを解説しました。
今回の後編では、高齢者の処方全体の見直しに役立つ「STOPP/START criteria」と、特定の副作用リスクの評価に役立つ「抗コリン薬リスクスケール」という2つの基準を紹介します。
高齢者の多剤併用を整理する際は、薬の「優先順位」を間違えてはならない
「明らかに患者に利益をもたらしていない薬」がもし見つかれば、その薬を減らすことは簡単です。しかし、実際の多剤併用ではそんな薬はなかなか見つかりません。
そのため、その患者さんが使っている個々の薬について、その薬の重要性や副作用リスクを踏まえて、ある程度の「優先順位」を考える必要があります。
この「優先順位」を間違うと、重要な薬を中断してしまって患者さんの生命予後やQOLに大きな悪影響を与えてしまう恐れがあるからです。
では、高齢者にとってはあまり重要でなく(※メリットが乏しく)、なおかつ副作用リスクの高い薬をどうやって見つけるかというと、色々と方法はありますが、今回は薬剤師にとっても扱いやすいツールを紹介したいと思います。
高齢者の“潜在的な不適切処方”を見つける「STOPP/START criteria: ver.3」
高齢者に対する処方全体の適正化に役立つ代表的なツールが、「STOPP/START criteria」と呼ばれる基準です1)。