なぜ、インフルエンザのときに「アスピリン」がダメなのか?詳細解説
- インフルエンザの時に「アスピリン」を避けた方が良い理由
- 「アスピリン」を定期服用している患者さんには、どんな人が居るか(抗血小板薬、あるいは川崎病の治療として)
- OTC医薬品の「アスピリン」製剤を扱う際に気をつけたいこと(注意書きの記載がない)
解熱鎮痛薬の「アスピリン」は、インフルエンザの患者さんには避けた方が良い薬ですが、その理由はきちんと説明できるでしょうか。このシーズンに多いインフルエンザへの対応に備えて、改めて注意点をおさらいしておきましょう。
インフルエンザで「アスピリン」を避けた方がいいのはなぜ?
「アスピリン」の添付文書には、“インフルエンザの患者には投与しないこと”を原則とする注意書きが記載されています1)。これは、インフルエンザの際に「アスピリン」を使用することが、ライ症候群のリスクになり、脳症を悪化させる恐れがある2)からです。
▲『バファリン配合錠A81』添付文書の「9.特定の背景を有する患者に関する注意」
「アスピリン」は、「イブプロフェン」や「ロキソプロフェン」に比べると解熱・鎮痛効果が弱い3,4)こともあり、現在では“解熱鎮痛薬”として用いられることはほとんどありませんが、抗血小板薬としての低用量「アスピリン」は今でも広く使われています。
そのため、抗血小板薬としての「アスピリン」を定期服用している患者さんがインフルエンザに罹患した際に、偶発的に「インフルエンザの患者がアスピリンを服用してしまう」といった事態が起こり得ます。
川崎病の治療で「アスピリン」を定期服用している子どもは要注意
見落としやすい「アスピリン」処方としてもう1つ気を付けたいのが、「川崎病(あるいは川崎病による心血管後遺症)」に対して用いられるケースです。