薬剤師の気になるトピックをお届け!今月の特集

更新日: 2025年2月13日 児島 悠史

花粉症の点眼薬「抗ヒスタミン薬」と「遊離抑制薬」の使い分けのポイント

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☞この記事でわかること
  • 「抗ヒスタミン薬」と「ケミカルメディエーター遊離抑制薬」の、大まかな有効性の違い
  • 「抗ヒスタミン薬」の中では、どの薬が最も効果的か

花粉症治療に用いられる抗アレルギー薬の点眼薬にはいくつか種類がありますが、これらの薬をどのように使い分ければ良いのか。薬剤師として押さえておきたい、薬ごとの効果や副作用の違い、製剤の特徴を踏まえた使い分けのポイントを解説します。

「抗ヒスタミン薬」と「ケミカルメディエーター遊離抑制薬」の違いは?

抗アレルギー薬の点眼薬には、主に「抗ヒスタミン薬」と「ケミカルメディエーター遊離抑制薬」の2種があります。

どちらも花粉症による目の“痒み”や“充血”に効果的であることは確認されていますが、その効果の優劣ははっきりしていません1)

もしどちらかの薬の方が圧倒的に優れているのであれば、これまでに多く使われてきた中で既にその優劣は明らかになっているはずだ…ということを踏まえると、恐らく「抗ヒスタミン薬」と「ケミカルメディエーター遊離抑制薬」の効果は“それほど大きくは変わらない”と考えるのが妥当です。

薬効分類 薬剤
抗ヒスタミン薬 ケトチフェン、レボカバスチン、オロパタジン、エピナスチン
ケミカルメディエーター遊離抑制薬 クロモグリク酸Na、ペミロラスト、トラニラスト、イブジラスト、アシタザノラスト

抗ヒスタミン点眼薬の長所と短所。花粉飛散量の多い日に向いているが…

効果に大きな違いは無さそうな「抗ヒスタミン薬」と「ケミカルメディエーター遊離抑制薬」ですが、症状が強く現れている場合には「抗ヒスタミン薬」の方がやや高い効果を期待できるようです2)

そのため、花粉の飛散量が多い時期、痒みや充血といった症状が強く現れているような患者さんは「抗ヒスタミン薬」を選ぶのが無難です。

通常、医療機関で「抗ヒスタミン薬」の点眼薬の方が多く処方されているのは、こういった効果の差が影響している可能性があります。

ただし、「抗ヒスタミン薬」は点眼であっても眠気を催すことがあります。

特に「鎮静性」の抗ヒスタミン薬に分類される「ケトチフェン」は、点眼であっても集中力や判断力の低下といった悪影響に十分に注意する必要があります3)

長距離ドライバーや受験生など、眠気が大きな問題になる可能性のある人の場合には、眠くなりにくい「ケミカルメディエーター遊離抑制薬」の方を選んでおいた方が無難です。

抗ヒスタミン点眼薬で最も効果が高いものは?

「抗ヒスタミン薬」の点眼薬は、主に「ケトチフェン(ザジテン)」「レボカバスチン(リボスチン)」「オロパタジン(パタノール)」「エピナスチン(アレジオン)」の4種が用いられています。

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児島 悠史
こじま ゆうし

薬剤師 / 薬学修士 / 日本薬剤師会JPALS CL6。
2011年に京都薬科大学大学院を修了後、薬局薬剤師として活動。
「誤解や偏見から生まれる悲劇を、正しい情報提供と教育によって防ぎたい」という理念のもと、ブログ「お薬Q&A~Fizz Drug Information」やTwitter「@Fizz_DI」を使って科学的根拠に基づいた医療情報の発信・共有を行うほか、大学や薬剤師会の研修会の講演、メディア出演・監修、雑誌の連載などにも携わる。
主な著書「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100(羊土社)」、「OTC医薬品の比較の比較と使い分け(羊土社)」。

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