「規格」や「剤型」で適応症が違う薬①DOAC、SSRI、アリピプラゾール、パーキンソン病治療薬

- 規格(mg)や剤型が変わると適応症も異なる薬の代表的なもの
(DOAC、SSRI、アリピプラゾール、パーキンソン病治療薬など)
「規格(mg)」や「剤型(錠剤/散剤)」によって適応症が異なる薬、前編では心不全治療に関わる薬を紹介しましたが、後編では抗凝固薬のDOAC、抗うつ薬のSSRI、抗精神病薬、パーキンソン病治療薬といった薬のケースを紹介します。
「DOAC」の適応症の違い
抗凝固薬「DOAC」は、血液凝固因子を阻害することで血栓症を防ぐ薬ですが、血栓ができやすくなる原因疾患によって適した用量が変わることがあります。
特に「リバーロキサバン」は錠、OD錠、細粒分包、ドライシロップと規格・剤型が豊富なため、個々の製剤の適応症に注意して扱う必要があります。
「エドキサバン」
15mg錠 | 30mg錠 | 60mg錠 | |
非弁膜症性心房細動患者における 虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制 |
〇 | 〇 | 〇 |
静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症) の治療及び再発抑制 |
〇 | 〇 | 〇 |
下肢整形外科手術施行患者における 静脈血栓塞栓症の発症抑制 |
〇 | 〇 | - |
「リバーロキサバン」
2.5mg (錠) |
10mg (錠、OD 錠、細粒 分包) |
15mg (錠、OD 錠、細粒 分包) |
ドライシ ロップ |
||
成人 | 非弁膜症性心房細動患者における 虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制 |
- | 〇 | 〇 | - |
静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症) の治療及び再発抑制 |
- | 〇 | 〇 | - | |
下肢血行再建術施行後の末梢動脈疾患患者における 血栓・塞栓形成の抑制 |
〇 | - | - | - | |
小児 | 静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制 | - | 〇 | 〇 | 〇 |
Fontan手術施行後における血栓・塞栓形成の抑制 | 〇 | 〇 | - | 〇 |
「アリピプラゾール」の適応症の違い
もともとは統合失調症の治療薬として開発された「アリピプラゾール」ですが、2006年の発売後、2012年に「双極性障害」、2013年に「既存治療で効果が認められないうつ病・うつ状態」、さらに2016年に「小児期の自閉症スペクトラム症に伴う易刺激性」と、多くの効能が追加されています。
基本的に、OD錠や散剤、内用液とほとんどの剤型・規格で適応症は共通していますが、高用量規格のOD錠(24mg)は統合失調症と双極性障害にしか効能がない、という点に注意が必要です。
散、内用液 | OD錠 | ||||
3mg | 6mg | 12mg | 24mg | ||
統合失調症 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
双極性障害における躁症状の改善 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
うつ病、うつ状態 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | - |
小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | - |
「パロキセチン」の適応症の違い
抗うつ薬SSRIは、適応症に「うつ病」だけでなく「パニック障害」や「強迫性障害」、「社会不安障害」、「PTSD」なども含まれていることが多く、かなり幅広い使われ方をします。