グレープフルーツジュース、全てのCa拮抗薬に影響する?~フラノクマリン類によるCYP阻害作用のメカニズムと薬剤差

- グレープフルーツジュースに含まれる「フラノクマリン類」は、小腸のCYP3A4を阻害する
- 小腸のCYP3A4の影響を受けやすいCa拮抗薬ほど、グレープフルーツジュースで血中濃度が上昇する
- 「アムロジピン」は、グレープフルーツジュースの影響をほとんど受けない
グレープフルーツジュースは、代謝酵素CYP3A4や有機アニオン輸送ポリペプチド(OATP)を阻害することによって、さまざまな薬の吸収や代謝に影響を与えることが知られています。
なかでも、高血圧治療薬であるCa拮抗薬の作用を増強するという相互作用は有名で、「グレープフルーツジュースでCa拮抗薬を飲んではいけない」ということは一般の方にも広く知られています。
しかし、Ca拮抗薬を服用しているすべての人が、グレープフルーツジュースの飲用を強く制限しなければならないわけではありません。Ca拮抗薬の中には、グレープフルーツジュースの影響をほとんど受けないものもあるからです。
そのため薬剤師は、患者さんひとりひとりの状況(例:使っているCa拮抗薬の種類、血圧のコントロール状況、グレープフルーツジュースをどのくらい好きか)を踏まえて、個別に対応を考える必要があります。
グレープフルーツジュースでCa拮抗薬の血中濃度が高くなるメカニズム
グレープフルーツジュースとCa拮抗薬の相互作用は、主にグレープフルーツジュースに含まれる「フラノクマリン類」が、小腸のCYP3A4を阻害することによって起こります。
CYP3A4というと“肝臓”での代謝を思い浮かべる人が多いですが、CYP3A4は小腸にも存在し、口から摂取した薬物や毒物がそのまま大量に血液中へ吸収されていくことがないよう、ある程度の代謝・分解を行う防御システムとしてはたらいています。
Ca拮抗薬も、通常はこの小腸のCYP3A4によって一部が代謝・分解されます。しかし、「フラノクマリン類」によってこの小腸のCYP3A4が阻害されると、摂取した薬は代謝・分解を受けることなくそのまま血液中に吸収されます。
これが、グレープフルーツジュースの飲用によってCa拮抗薬の血中濃度が上昇するメカニズムです。
