抗コリン薬が禁忌でない場合も。“グレーゾーン” タイプの緑内障とは?
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- 「閉塞隅角緑内障」と「開放隅角緑内障」の違い
- Shaffer分類でGrade1~2の「閉塞隅角緑内障ではない人」に対する、抗コリン作用のリスク
- 白内障の手術で、なぜ緑内障のリスクが消失するのか
「閉塞隅角緑内障」と「開放隅角緑内障」どちらも、抗コリン作用は“禁忌”?
ひとことに「緑内障」と言っても、その病態は色々あり、特に「閉塞隅角緑内障」なのか「開放隅角緑内障」か、という区別は抗コリン作用を持つ薬の扱いを考える際に大きく関係してきます。
というのも、強い抗コリン作用を持つ薬は「閉塞隅角緑内障」に対して“禁忌”の指定があるからです。
「閉塞隅角緑内障」と「開放隅角緑内障」は、どちらも眼圧が上昇して視神経が傷害される疾患であることは同じですが、この眼圧が上昇してしまう原因が異なります。
「閉塞隅角緑内障」は眼房水の排出口である隅角が狭くなることで起こりますが、薬が持つ抗コリン作用はこの隅角をさらに狭くする(☞前編)方向に働きます。その結果、隅角が完全に“閉塞”してしまい、眼圧が急激に上昇することになります。
そのため、強い抗コリン作用を持つ薬は、「閉塞隅角緑内障」に対しては“禁忌”に指定されています。

一方で、隅角が狭くなっているわけではない「開放隅角緑内障」では、抗コリン作用を持つ薬を使っても、隅角が完全に“閉塞”してしまうことは基本的にないため、眼圧の急上昇は通常起こりません(※ただし、自覚症状なく徐々に進行する)。
このことから、「開放隅角緑内障」に対しては、特に抗コリン作用を持つ薬も“禁忌”の指定はありません。
「閉塞隅角緑内障」でなければ、抗コリン作用は全く問題にならない?
では、「閉塞隅角緑内障」でなければ、抗コリン作用を持つ薬も特に何の問題もなく使えるのかというと、そういうわけでもありません。緑内障には、抗コリン作用を持つ薬が禁忌の「閉塞」タイプと、抗コリン作用を持つ薬を使っても問題のない「開放」タイプの間に、“禁忌ではないものの注意が必要な境界タイプ”のものもあるからです。
たとえば、隅角がどのくらい開いているかで緑内障を評価する「Shaffer分類」では、「閉塞隅角緑内障」に該当する【Grade0】と、「開放隅角緑内障」に該当する【Grade3~4】の間に、“隅角の閉塞が起こる可能性がある”と評価される【Grade1~2】が存在します。