薬剤師の気になるトピックをお届け!今月の特集

更新日: 2025年5月22日 児島 悠史

ARBの処方意図②オルメサルタンは他の薬剤と何が違う?医師がなぜ選んだか考えよう

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「オルメサルタン」も、高血圧治療の中心的存在である「主要降圧薬」の一翼を担うARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)の1つです。前編では、降圧作用がやさしめで尿酸排泄作用も持つ「ロサルタン」の特徴と使いどころを解説しましたが、後編の今回は「オルメサルタン」にはどのような特徴があり、どんな患者さんに使われることが多いのかを紹介します。

☞この記事でわかること
  • 数あるARBの中で「オルメサルタン」はどんな特徴のある薬剤か
  • どんな患者さんに「オルメサルタン」が選ばれるのか

ARB「オルメサルタン」の基本情報

「オルメサルタン」も、「主要降圧薬」の1つARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)に分類される薬1)で、心血管イベントの抑制効果2)が確認されている、高血圧治療の重要な薬です。

一般名 先発医薬品名 日本での発売年
ロサルタン ニューロタン 1998年
カンデサルタン ブロプレス 1999年
バルサルタン ディオバン 2000年
テルミサルタン ミカルディス 2002年
オルメサルタン オルメテック 2004年
イルベサルタン イルベタン 2008年
アジルサルタン アジルバ 2012年

※現在使われている7種のARB

「オルメサルタン」は、ARBとしては5剤目と比較的遅めに登場した薬です。通常、遅れて登場した薬は、先行している薬に比べて何かよほどの“光るもの”がなければ、あまり使われることはありません。そんな状況で、「オルメサルタン」は“降圧作用が強め”などの特徴を売りにシェアを伸ばしてきた経緯があります。

ARB「オルメサルタン」の特徴①~降圧作用が“やや強め”

「オルメサルタン」は、先行して販売されていた「ロサルタン」や「バルサルタン」などに比べると、降圧作用が“強め”であること3)が最大の特徴でした。これが、ARBとしては遅れて登場した「オルメサルタン」のシェアを伸ばす大きな要因になったと考えられます。

しかし、現在はより降圧作用が強力な「アジルサルタン」4)が登場しているため、“降圧作用の強さ”で選ばれる機会は少なくなっています。が、「アジルサルタン」が登場する2012年以前からARBを使い続けている患者さんの中には、「オルメサルタン」を“強力なARB”として使い始めた背景があるかもしれません。

ARB「オルメサルタン」の特徴②~CYPにほとんど影響しない

現在の日本の高血圧患者は、高血圧だけでなく、他にも様々な疾患を抱えていることが多いため、必然的に「併用薬」も多くなる傾向にあります。

そこで大きな問題になるのが、薬物間相互作用です。

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児島 悠史
こじま ゆうし

薬剤師 / 薬学修士 / 日本薬剤師会JPALS CL6。
2011年に京都薬科大学大学院を修了後、薬局薬剤師として活動。
「誤解や偏見から生まれる悲劇を、正しい情報提供と教育によって防ぎたい」という理念のもと、ブログ「お薬Q&A~Fizz Drug Information」やTwitter「@Fizz_DI」を使って科学的根拠に基づいた医療情報の発信・共有を行うほか、大学や薬剤師会の研修会の講演、メディア出演・監修、雑誌の連載などにも携わる。
主な著書「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100(羊土社)」、「OTC医薬品の比較と使い分け(羊土社)」。

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