ARBの処方意図②オルメサルタンは他の薬剤と何が違う?医師がなぜ選んだか考えよう

「オルメサルタン」も、高血圧治療の中心的存在である「主要降圧薬」の一翼を担うARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)の1つです。前編では、降圧作用がやさしめで尿酸排泄作用も持つ「ロサルタン」の特徴と使いどころを解説しましたが、後編の今回は「オルメサルタン」にはどのような特徴があり、どんな患者さんに使われることが多いのかを紹介します。
- 数あるARBの中で、「オルメサルタン」にはどんな特徴があるか
- どんな患者さんに、「オルメサルタン」が選ばれるのか
「オルメサルタン」の基本情報
「オルメサルタン」も、「主要降圧薬」の1つARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)に分類される薬1)で、心血管イベントの抑制効果2)が確認されている、高血圧治療の重要な薬です。
一般名 | 先発医薬品名 | 日本での発売年 | |
ロサルタン | ニューロタン | 1998年 | |
カンデサルタン | ブロプレス | 1999年 | |
バルサルタン | ディオバン | 2000年 | |
テルミサルタン | ミカルディス | 2002年 | |
オルメサルタン | オルメテック | 2004年 | |
イルベサルタン | イルベタン | 2008年 | |
アジルサルタン | アジルバ | 2012年 |
※現在使われている7種のARB
「オルメサルタン」は、ARBとしては5剤目と比較的遅めに登場した薬です。通常、遅れて登場した薬は、先行している薬に比べて何かよほどの“光るもの”がなければ、あまり使われることはありません。そんな状況で、「オルメサルタン」は“降圧作用が強め”などの特徴を売りにシェアを伸ばしてきた経緯があります。
「オルメサルタン」の特徴①~降圧作用が“やや強め”
「オルメサルタン」は、先行して販売されていた「ロサルタン」や「バルサルタン」などに比べると、降圧作用が“強め”であること3)が最大の特徴でした。これが、ARBとしては遅れて登場した「オルメサルタン」のシェアを伸ばす大きな要因になったと考えられます。
しかし、現在はより降圧作用が強力な「アジルサルタン」4)が登場しているため、“降圧作用の強さ”で選ばれる機会は少なくなっています。が、「アジルサルタン」が登場する2012年以前からARBを使い続けている患者さんの中には、「オルメサルタン」を“強力なARB”として使い始めた背景があるかもしれません。
「オルメサルタン」の特徴②~CYPにほとんど影響しない
現在の日本の高血圧患者は、高血圧だけでなく、他にも様々な疾患を抱えていることが多いため、必然的に「併用薬」も多くなる傾向にあります。
そこで大きな問題になるのが、薬物間相互作用です。