薬剤師必見!尿酸値が高いと、何が問題?高尿酸血症を治療する目的と必要性

- 「尿酸値」が高いと、どんなリスクをどの程度で負うことになるのか
- 心血管イベント抑制や腎保護を目的に、高尿酸血症の薬物治療を行うことはあるのか
推定で1,300万人の患者が居るとされている「高尿酸血症」ですが、高血圧や糖尿病と違ってそこまで大きな問題とは捉えられておらず、どこか軽く扱われている節もあります。そんな「尿酸値」ですが、実際に高尿酸血症ではどのようなリスクを負うことになるのか、薬物治療にはどういった意義・目的があるのか、意外と抜けがちなポイントをおさらいします。抑制や腎保護を目的に、高尿酸血症の薬物治療を行うことはあるのかもみていきましょう。
「高尿酸値」の最大のリスクは、「痛風」の発作を起こすこと
血圧が高くなると頭痛や耳鳴り、動機などの自覚症状が現れることがあります。血糖値も、あまり高くなると喉の乾きや空腹感、場合によっては意識障害なども伴うことがあります。
こういったものに比べると、「尿酸値」は特に高くなったところで自覚症状は現れません。そのため、「尿酸値」が高い状態=高尿酸血症を抱えていても、日常生活で何か困ることはほとんどありません。そのため、頑張ってまで“治療”を行う必要性を感じられない、というケースが多々あります。
しかし、高尿酸血症を放置していると、体内の尿酸が関節などで結晶化し、これに白血球が反応することで激しい炎症が起こることがあります。これには文字通り“風が吹いただけで痛い”くらいの強い痛みと腫れを伴うことが知られています。
この痛風発作が直接生命に影響することはありませんが、最大で3週間も続き、「尿酸値」が高いままでは何度も繰り返すことがあります。
どのくらいの「尿酸値」から問題になる?
この痛風発作は、血中の「尿酸値」が7.0~8.0mg/dLを超えたあたりから徐々に増加し、9.0mg/dL以上になるとそのリスクは跳ね上がっていくことが知られています1)。
そのため、日本では7.0mg/dLを超えたあたりから高尿酸血症として食事・運動療法を開始し、合併症があれば8.0mg/dL、合併症がなくても9.0mg/dLあたりが薬物治療を始める目安になっています2)。