薬剤師の気になるトピックをお届け!今月の特集

更新日: 2025年6月15日 児島 悠史

高尿酸血症治療薬「尿酸排泄促進薬」と「尿酸生成抑制薬」の違いと注意点とは?

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☞この記事でわかること
  • 「尿酸排泄促進薬」と「尿酸生成抑制薬」の違いとそれぞれの薬の注意点
  • 現在の日本では「尿酸生成抑制薬」の方がよく使われている理由

高尿酸血症の薬物治療では、薬で「尿酸値」を下げることが基本戦略になりますが、これには主に「尿酸排泄促進薬」と「尿酸生成抑制薬」が使われます。それぞれ、どういった特徴と違いがあり、どのように使い分けられているのか、基本的なところをおさらいしておきましょう。

高尿酸血症の薬は「尿酸排泄促進薬」と「尿酸生成抑制薬」の2つに分類される

高尿酸血症は、高くなっている「尿酸値」を下げることで治療を行いますが、それには大きく分けて2つの方法があります。1つは“体に蓄積している尿酸の排泄を促す”こと、もう1つは“体内で新たに作られる尿酸の量を減らす”ことです。現在、高尿酸血症の治療薬として用いられている薬も、基本的にこの2つのどちらかに分類されます。

※「尿酸排泄促進薬」と「尿酸生成抑制薬」一覧

尿酸の排泄を促す薬
(尿酸排泄促進薬)
プロベネシド(ベネシッド)、ベンズブロマロン
(ユリノーム)、ドチヌラド(ユリス)
尿酸の生成を減らす薬
(尿酸生成抑制薬)
アロプリノール(ザイロリック)、フェブキソスタット
(フェブリク)、トピロキソスタット(トピロリック)

一般的に、体内からの尿酸排泄が滞っているタイプには「尿酸排泄促進薬」、体内での尿酸生成が過剰になっているタイプには「尿酸生成抑制薬」を使うのが、作用メカニズム的にも合理的です。

しかし、“扱いやすさ”の点から、どちらのタイプの高尿酸血症であっても「アロプリノール」や「フェブキソスタット」といった「尿酸生成抑制薬」が選ばれることが多くなっています。

「尿酸生成抑制薬」が扱いやすい理由①劇症肝炎のリスク

「尿酸排泄促進薬」の「ベンズブロマロン」では、劇症肝炎を起こした症例が報告され、2000年にイエローレター(緊急安全性情報)が出されました1)

このことから、「ベンズブロマロン」を使用する際には、投与開始から6ヵ月間は必ず定期的な肝機能検査を行う必要があります2)

こうした制限のない「アロプリノール」や「フェブキソスタット」といった「尿酸生成抑制薬」は、高尿酸血症の薬物治療として最初に選びやすい、というメリットがあります。

「尿酸生成抑制薬」が扱いやすい理由②腎・尿路結石のリスク

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児島 悠史
こじま ゆうし

薬剤師 / 薬学修士 / 日本薬剤師会JPALS CL6。
2011年に京都薬科大学大学院を修了後、薬局薬剤師として活動。
「誤解や偏見から生まれる悲劇を、正しい情報提供と教育によって防ぎたい」という理念のもと、ブログ「お薬Q&A~Fizz Drug Information」やTwitter「@Fizz_DI」を使って科学的根拠に基づいた医療情報の発信・共有を行うほか、大学や薬剤師会の研修会の講演、メディア出演・監修、雑誌の連載などにも携わる。
主な著書「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100(羊土社)」、「OTC医薬品の比較と使い分け(羊土社)」。

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