関節リウマチ治療薬「メトトレキサート」と葉酸を併用すると効果は弱まる?

関節リウマチ治療のアンカードラッグである「メトトレキサート(MTX)」は、葉酸の働きを妨げる作用を持つ薬です。そのため、葉酸を補給することで口内炎や吐き気、下痢、肝機能障害といった副作用を軽減できることを前編で紹介しました(☞リンク)。
しかし、そもそも葉酸に拮抗する作用を持つメトトレキサートに葉酸を併用すると、メトトレキサートの効果そのものが弱まってしまうことはないのでしょうか。そんな不安を相談された際に知っておきたい復習のポイントです。
- 「メトトレキサート」に「葉酸」を併用して、関節リウマチの治療効果が弱まることはないのか
- 「メトトレキサート」の治療効果に影響しないよう、薬剤師が服薬指導で注意すべきポイントはどこか
「メトトレキサート(MTX)」と葉酸を併用して治療効果は弱まらない?:復習ポイント
関節リウマチの治療に「メトトレキサート(MTX)」を使う場合、副作用軽減を目的に葉酸を併用することはガイドラインでも強く推奨されている方法です1)。
メトトレキサートは関節リウマチ治療のアンカードラッグとして非常に重要な役割を果たすため、メトトレキサートの服薬継続率を高めることは、治療成功のカギになるだけでなく、高額なbDMARD等の使用を避けられるという意味で経済的な面からも有用だからです。
しかしここで気になるのが、メトトレキサートはそもそも葉酸の働きを妨げることで効果を発揮している、という点です。
メトトレキサートがこうした作用を持つ以上、葉酸を下手に増やすと治療も邪魔してしまうのではないか…と不安に感じるのはごく自然なことだからです。
これに関しては、適切なタイミングと量で葉酸を補充する限り、メトトレキサートの治療効果には大きく影響しないことが確認されています2,3)。そのため、もし葉酸の補充に不安を感じている患者さんがいれば、その不安はしっかりと解消できるように説明する必要があります。