薬剤師の気になるトピックをお届け!今月の特集

更新日: 2025年8月25日 児島 悠史

小児点眼量の素朴な疑問。「大人と同じ量」なのはなぜ?

小児点眼量の素朴な疑問。「大人と同じ量」なのはなぜ?のメイン画像
☞この記事でわかること
  • 点眼薬の用法用量が、子どもと大人であまり変わらない、“同じ”であることもある理由
  • 副作用を心配する親御さんに、服薬指導で伝えたい点眼薬のポイント

薬剤師であれば、「子どもの薬は体重に応じて用量を調整する」ということを当たり前のように認識していると思います。これは、身体の小さな子どもが大人と同じ量の薬を使うと、薬の量が過剰になってしまうからです。

ところが、点眼薬ではその原則が当てはまらず、子どもでも大人でも“同じ量”で使うことがしばしばあります。なぜそんな使い方になっているのか、薬の投与経路・薬物動態の観点からおさらいしておきましょう。

理由①点眼薬は、基本的に“全身作用”をほとんど起こさない

内服薬は、消化管から吸収されて全身を巡ります。この過程では、体重や血液量、肝臓の代謝能力、腎臓の排泄能力などが大きく影響するため、子どもと成人で同じ量を投与していると、体格の小さな子どもでは過量投与になるリスクがあります。そのため、体重ごとに用量を細かく設定する必要があります。

一方で、点眼薬は主に「眼」での局所作用を期待して用いる薬です。結膜や角膜からわずかに吸収されるものもありますが、基本的に全身への移行量はごくわずかに留まります。そのため、体重による薬物動態の差は小さく、体格差によって薬の用量を細かく調節する必要性は低い、という面があります。

患者説明のポイント

点眼薬は、血液中に吸収されて作用するわけではないので、薬の効果は「体重」にあまり左右されない

理由②点眼薬は、もともと投与量が少ない

同じ有効成分の薬であっても、全身作用を期待する内服薬に比べると、点眼薬に含まれる薬の量はかなり少なめです。

すべてのコラムを読むにはm3.com に会員登録(無料)が必要です

児島 悠史の画像

児島 悠史
こじま ゆうし

薬剤師 / 薬学修士 / 日本薬剤師会JPALS CL6。
2011年に京都薬科大学大学院を修了後、薬局薬剤師として活動。
「誤解や偏見から生まれる悲劇を、正しい情報提供と教育によって防ぎたい」という理念のもと、ブログ「お薬Q&A~Fizz Drug Information」やTwitter「@Fizz_DI」を使って科学的根拠に基づいた医療情報の発信・共有を行うほか、大学や薬剤師会の研修会の講演、メディア出演・監修、雑誌の連載などにも携わる。
主な著書「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100(羊土社)」、「OTC医薬品の比較と使い分け(羊土社)」。

キーワード一覧

薬剤師の気になるトピックをお届け!今月の特集

この記事の関連記事

この記事に関連するクイズ

アクセス数ランキング

新着一覧

28万人以上の薬剤師が登録する日本最大級の医療従事者専用サイト。会員登録は【無料】です。

薬剤師がm3.comに登録するメリットの画像

m3.com会員としてログインする

m3.comすべてのサービス・機能をご利用いただくには、m3.com会員登録が必要です。

注目のキーワード

医薬品情報・DI 調剤報酬改定 医師の意見 薬物療法・作用機序 服薬指導 医療過誤・ヒヤリハット 漢方 薬局経営 薬物療法 医療クイズ